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by Reuben Cornell

シネマティックテクスチャー向け、無償のKONTAKTライブラリおすすめ5選

壮麗なサウンドスケープを生み出す無償のプロダクト。

マーケットには「シネマティック」なサンプルライブラリが豊富に揃っており、アンビエントな冒険をどこでも好きな所から始めることができる。さらにありがたいことに、すぐに使えるドローンやサウンドスケープを無償で提供している気前のいい開発者も存在する。こういったサウンドは、映画の背景音楽からドラムンベースのアクセントになるモチーフまで幅広い用途で使用することができ、さらにこれらのサウンドを、トランスゲートやLFOフィルターといったエフェクトで加工することで、もっと激しい動きを加えることもできる。

今回紹介するライブラリは全てKONTAKTのフルバージョンで使えるが、オープンソースのサンプルを含んでいるものも多く、その場合はKONTAKTを持っていなくても、お気に入りのオーディオソフトウェアにドラッグするだけで使うことが可能だ。

Dronar Free Edition

4つの異なるDronarライブラリ(Hybrid、Guitarscapes、Live Strings、Dark Synthesis)のハイライトを集めた気前の良いコレクションで、Time & Spaceから無償ダウンロードすることができる。ダイジェスト版なので、「エキスパート」ページはなく、いくつかのリズムの編集オプションは装備していないが、それ以外の面では、Dronarの体験を存分に味わうことができる。LFOシェーピング、FXラック、アルペジエイター、そして、異なるレイヤーやエフェクトを操作することができる6つのメインページダイアルを装備。「Sci-Fi Twin Moons」や「Night City Ambient」といったプリセット名のおかげでイメージ通りの音を簡単に探すことができ、レイヤーダイヤルを回せば、20個のプリセットの音色を超えて様々なサウンドスケープを作り出すことができる。また、楽しくておすすめの使い方は、パッチをリアルタイムで演奏すること。メインコントロールノブをMIDIコントローラーにアサインして、ハイ、ミッド、ロー、FX、Intensity、そして、Movementノブにパラメーターを設定し、サンプルに命をふきこもう。無償版が気に入ったら、オーケストラの金管楽器から世界のフルートまで数多くのテーマが揃っているDronarライブラリの購入を検討しよう。素晴らしいワープサウンドや突然変異するようなサウンドが満載だ。

Project Exodus

膨大な無償コレクションを入手できるウェブサイト99 Soundsで入手可能なProject Exodusは、KONTAKTフルバージョン用の127個のパッチが収録されており、サウンドデザイナーのBryan Lakeの才能が存分に伝わってくるタイトルとなっている。ムードを作り出すことが得意で、演奏にも適し、さらにシーケンスとしてもカテゴライズできるが、それだけに限らない内容のライブラリだ。インターフェースの基本的なコントロール類は使いやすく、リバーブ、ディレイ、ADSRシェーピング、 フィルタリング、そして、チューブディストーションを装備。ダイヤルを回してリバーブやディレイの量やサイズを変えると、切り刻まれたフィールドレコーディングから壮大でシネマティックなドローンまでをも生み出すことができる。オーガニックなサウンドスケープや天空からの極上パッドサウンドが必要な時には、姉妹ライブラリであるProject Pegasusも素晴らしいインスピレーションを与えてくれる。オリジナルの.nkiファイルではチューニングが若干ぐらついている素材もあるが、アップデートをダウンロードすることで修正可能だ。

Dark Drones

その名の通り、40種類のダークなドローンサンプルをMIDIコントローラーのキーにマッピングしてくれるKONTAKTライブラリ。インターフェースは大変シンプルで使いやすく、フリークエンシーシェーピング、チューニング、リバーブ、いくつかのディストーションエフェクトといった厳選されたオプションだけを装備している。傑出した要素はサンプル自身で、恐ろしい予感に満ち溢れた唸り声を提供してくれる。重々しく不気味なサブベースの周波数は、ホラーやサスペンスにもってこいだ。サンプルはループしていないが多くは1分以上の長さなので、違うサウンドを組み合わせることで様々な角度から伏線をはりめぐらせることができる。サンプルをレイヤーすればオリジナルなドローンスケープの基盤ができ、そこに驚きや恐怖のアクセントを散りばめれば、サウンドトラックの完成だ。

Relict

2種類の使い方ができる、とっても楽しいライブラリ。まず1つ目の楽しみ方は、MIDIキーを使って、KONTAKT用の3つのパッチのAtmospheres、Glitches、Risers、Impactsをマッピングし、強烈な緊張感をつくるためのバーチャルなサウンドボードとして使う方法。もう1つは、オープンソースのWAVファイルが別途提供されているので、これをDAWにドラッグ&ドロップして使う方法だ。実際、KONTAKTインストゥルメントになっていないオーディオファイルもサンプルとして提供されているため、ボーナスコンテンツを探すこともできる。シネマティックなKONTAKTパッチは、リバーブとディレイ、チューニングを上げることのできるピッチエフェクトと気の利いたスタッター、 そして、トランスフォーマー風の震えながら強打を繰り出すグリッチサンプルを兼ね備えている。ミュージシャンのGiuseppe Caiazzoは椅子から飛び上がってしまうような恐ろしいサウンドデザインを得意としており、彼のSilence+Other Soundsでの他のライブラリの多くは、痛々しく響く金属音から拷問のような弦楽器まで、背筋を凍らせるようなサウンドが揃っている。

Chillerscapes

Doctor Whoオーディオブックの音楽とエフェクトで知られるSteve Foxonがサウンドデザインへの愛情を込めてシンセプリセットとKONTAKTライブラリを開発しているResomonics。無償でダウンロードできるChillerscapesは、13個の進化するアンビエンスと5個のドローンを装備し、4オクターブの範囲ですべてが演奏可能だ。血糊が付いたビジュアルのインターフェースにはIntensityのダイヤルが目立つように大きく付いていて、サウンドに動きを与えるためのモジュレーションホイールとパルスコントロールをマッピングしている。ディストーションを少し加えてみれば、恐怖を煽る場面にぴったりのサンプルだということが分かるだろう。警告しておくが、サウンドがとても奇妙になった時、インターフェース上に幽霊のような女の子が現れるので驚かないでほしい。オススメの使い方は、ウェーブフォームのオートメーションを、ボリュームを急に上げた後に突然オーディオをオフにするように描くことだ。

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