• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

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by Native Instruments

世界最強のターンテーブルユニット
KIREEKが⼀夜限りの再結成

2007年DMC Team Championsで初優勝した後、前代未聞の5連覇を成し遂げたDJ YASAとDJ HI-Cによる日本のターンテーブリストデュオKIREEK。その偉業を超える者たちはいまだ現れていない。お互いの新しい⽅向性を探るために2018年に解散した彼らが、今回TRAKTOR 20周年を祝して特別に再結成を果たした。これまでの歩みとTRAKTORとの関わり⽅、そしてこれからについて2⼈に伺った。

── ⽇本のターンテーブリズムシーンの歴史を簡単に教えて下さい。

DJ HI-C(以下、HI-C)── DMC DJ Championshipsから⽇本のターンテーブリストの歴史をさかのぼるとまず1991年にGM Yoshiが世界⼤会で3位入賞。1997年に彗星のごとくシーンに現れたDJ AKAKABEが翌98年の世界⼤会で4位、そして2002年にDJ KENTAROが⽇本⼈初のシングル部⾨世界チャンピオンを獲得。ここが⽇本のターンテーブリズムの転換期かと。それ以降、多くの⽇本⼈が次々世界チャンピオンになり、⽇本の世界タイトル保有数は、フランス、アメリカに次いで3位になりました。

DJ YASA(以下、YASA)── DJ BABUが “ターンテーブリスト”、“ターンテーブリズム”という⾔葉を⽣み出した1990年ごろ、Mix Master MikeやDJ Shadowといった世界で活躍するスーパースターが来⽇するようになりました。多くの⽇本のターンテーブリストが彼らに影響を受けたと思います。DMC JAPAN DJ Championshipsが始まったのは、ちょうどその頃ですね。

── 2⼈は、どのようにターンテーブリズムに興味を持ち、KIREEK結成に⾄ったのでしょうか︖

HI-C ── ゲームセンターで⾒つけたビートマニアというDJシミュレーションゲームがきっかけでDJに興味を持ちました。当時姉の交際相手が経営していたDJ BARへDJを習いに行ってみたら、そのお店で1998 年のDMC JAPAN FINALのビデオが流れていて、DJ AKAKABEの圧巻のプレイを⽬の当たりにしたんです。僕もあんな⾵になりたいなぁと思い、このシーンへ⾶び込みました。

YASA ── 僕の原点も、中学⽣の頃に⾒たDJ AKAKABEやDJ KRUSHですが、実際シーンに⾜を踏み⼊れたのは⾼校⽣になってからですね。よく通っていたスケボーショップにスクラッチしている店員さんがいて、その⼈が偶然にもDJ AKAKABEの弟⼦で(笑)。ミックステープ借りたりスクラッチ教えてもらったりするようになって。⾼校2年の時に、⺟に1 週間⼟下座してお⾦借りてDJセットを購⼊しました。まだお⾦返してないけど(笑)。

HI-C ── 当時は地元にターンテーブリストがいなかったので、ビデオを⽚⼿に⼤阪まで⾏ってDJ TAIJIやDJ FULのプレイを撮影して、それを⾒ながらひたすら練習を繰り返していました。今とは違ってインターネットもスクールも無く、レコードも⽚道2時間⾏かないと買えない環境だったので、しかも一度に試聴は5枚までって言う制限付きで何をするにも修⾏でしたね。DMCとかのビデオもメッチャ買っていまだに持っています。

その後、僕もYASAも⼤阪に移り住んで、よく遊ぶようになりました。同じPartyに出る機会も増えたある⽇、試しにお互いのルーティンを交互でやってみたんです。そうしたら、案外つながりが良くて……それがKIREEK結成の始まりですね。

──今回の機材セットアップ構成について教えて下さい。

YASA ── 今までいろいろ試しましたが、今回は4ターンテーブル+3ミキサーです。それぞれのDJセットの間にミキサーを挟んで、左右のバースの切り替えができるようにしています。

HI-C ── 1 番多かった時は4ターンテーブルと5 ミキサーに加えて2DVJ、KAOSS PAD、SP-404でした。これは、2007年FUJI ROCKとDMC JAPAN北海道予選、中国ツアーの時のセットだったんですが、あまりの機材の多さに移動で泣いていました(笑)。

── KIREEKのDJスタイルの特徴はどんなところにあったと思いますか︖

YASA ──テクニック⾯では、ジャグリングとスクラッチの同時展開できるところですかね。ソロでは表現できない。

HI-C ──ジャグリングにジャグリングを重ねられるのもYASAによる世界⼀のビートキープ⼒がなせる技かと…。⾳楽⾯では、ジャンルの垣根を越えたプレイが特徴で、ダンスミュージックとターンテーブリズムの融合などを試行錯誤していました。

── KIREEK解散後の活動について教えてください。

HI-C ── 僕はテクノシーンに活動を移しました。DJはもちろん、海外のレーベルから楽曲リリースしたり、Momentという野外テクノフェスを仲間達と主催しています。

あとはDJの講師をしたり、猫と遊んだり……。解散した理由は、もうちょい寝かしてTRAKTOR 30周年のときにでも話せたらと思います(笑)。現在テクノアーティストとしてもソフトウェアはもちろん、X1などのコントローラーなど僕の音楽活動においてTRAKTORは無くてはならない存在です。

それと並行して大阪のテクノプロデューサー仲間と自主レーベルもまもなく始動します。世界的なDJの方々にRemixもしてもらった楽曲も完成してますので乞うご期待。

YASA ── オリジナルビートをリリースしてターンテーブリズムとの融合したLIVEをしたり、自身の曲に歌や楽器の導入など、自分らしい音楽を今も探し続けています。DJというよりはターンテーブルを軸とした演奏を確立したいと思っています。

TRAKTORには普段からお世話になってて、サンプルにFXをかけてHOT CUEでチョップしたりしてラフビートを組んでみたり、DJのとき即興でブレンドしてスクラッチしながらそれをLOOPさせたり。トラックメイクとDJ LIVEではいつもクリエイティブな幅を広げてもらってます。

── なぜ今回KIREEKとして出演していただけたのでしょうか︖

HI-C ── 最近お互いが同じパーティに出演することがあり、改めて久々に並ぶと良いなぁと思っていた時に、TRAKTOR20周年の企画とお誘いをもらったんです。気持ちも乗っていたし、良いタイミングでした。

YASA ── NI JAPANのアーティスト担当がしつこく言うから笑 最初断ろうかと思ったけどKIREEKの活動にNIは切っても切り離せない存在やったし、彼とは2人とも信頼関係の仲やったので。HI-Cと話し合って受けることにしました。

── 久しぶりに2⼈の息があったプレイを拝⾒できましたが、今回のルーティンのポイントを教えてください。

HI-C ── これは、2010年にDMC4連覇を達成した時の一番強力なルーティンを、オリジナルの楽曲で作り直して再構築しました。僕らにとっても非常に感慨深い演奏でした。

YASA ── 自分たちも当時気に入っていた2010年の世界大会セットでの見所な箇所をオリジナルビートで再構築してみました!久々のタッグでの演奏をお楽しみください!

── これまでの経験の中でターニングポイントになるような印象的だった出来事はありますか︖

HI-C ── 2007年にKIREEKで初めてDMC World Team部⾨で優勝した時、2011年にその部⾨で5連覇を成しとげた時、そして2018年にKIREEKを解散した時。

あとはアムステルダムで靴下片方無くした時(笑)。

YASA ── ロンドンのXOXOでDJ KRUSHとPREFUSE73とThe Cinematic Orchestraと共演出来たことも印象的だったなぁ。

── TRAKTORはいつ頃から使いはじめましたか︖

YASA ── 2012年くらいですかね︖ アーティストのXLIIに紹介されたのは。

HI-C ── そうそう、オーディオインターフェース内蔵のDJミキサー、TRAKTOR KONTROL Z2が登場した時、MIDIコントローラーも搭載していてUSBケーブル1本でPCを繋ぐだけだったので、“これならイケる︕”と思って乗り換えました。他社のDVSよりも出⾳がソリッドでエフェクトなども豊富に使えること。

そして現在のセットアップとしてDJミキサーのAllen&Heath Xone:96 or Pioneer DJM V10にUSBで直接接続して、4ch全てをコントロール出来る事が最大の魅力です。TRAKTORは⼈⽣の⼀部と⾔えるほど⽋かせない存在になっています。

YASA ── やはり、MIDIコントローラーを追加接続して2⼈で最⼤8個のエフェクトを同時に使えるところが良いですね。MIDIマッピングを⾃由に変更できるところも気に⼊っています。

── ⽇本のターンテーブリズムシーンに向けてアドバイス等があれば教えてください。

YASA ── 1つのシーンだけが発展するのではなく、それぞれのコミュニティから⽣まれたシーンがちゃんと発展していって欲しいですね。ターンテーブリストがCM カルチャーの余興とかになって、企業の⾷い物にされるのではなく、いちアーティストとしてのアイデンティティを失わないように︕ ⾃分にも⾔えることですが(笑)。

HI-C ── 元々ブロックパーティーで産まれて、クラブで育まれてきたこの文化なので、まずはクラブで遊んで、現場の空気を肌で感じよう

Let’s dance!

そうすることで、どうすればそう言う場でターンテープリズムが活用出来るか、上手く音楽と融合出来るかという客観的な視点が養われるかなと!オンライン化が加速する昨今、オフラインでの体験も大切にして欲しいですね。

── これからのNIに期待することは︖

YASA ── AIと⾳楽の化学反応の底⼒︕

HI-C ── 最近は⾳楽制作でモジュラーシンセを使っているので、TRAKTORにCVと連携する機能があったら⾯⽩いかなぁと思います。コントロールバイナルとフェーダーでモジュラーシンセをコントロールしてみたい︕

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