• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

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by Reuben Cornell

KONTAKT用の無償のサックスライブラリを演奏しよう

スムーズなジャズから唸るようなサウンドデザインまで、万能な5つの木管楽器を紹介。

サックスは、小さなソプラニーノから巨大なコントラバスまでさまざまな音域をカバーし、レトロウェイブのリバイバル作品では叫ぶような音を奏で、はたまたクラシック・ジャズのアルバムではソロ楽器としてフィーチャーされたりと、まるでカメレオンのような楽器です。しかし、サックスの魅力である人間的でエモーショナルな要素は、サンプリングするのが難しい理由の一つでもあります。さらに、非常に多くの演奏テクニックがあるため、たとえ最高のバーチャルサックスであってもプログラミングが非常に難しいという問題も存在します。

とはいえ、多くの意欲的な開発者がサックスのサンプリングに挑戦し成功を収めています。しかも、KONTAKTのフルバージョンをお持ちであれば、その多くを無償で入手することができます。今回は、オーディオデモとダウンロードリンクを含む5つのベストプリセットをご紹介。セッションプレーヤーの代わり…とまでは行きませんが、どれも素晴らしいサウンドで、演奏するのがとても楽しいプリセットとなっています。

Kontakt Factory Library

まずは、みなさんが既にお持ちで、尚且つ意外と知られていない楽器をご紹介しましょう。KONTAKTの製品版には、便利なサウンドを集めたFactory Libraryが付属しています。BandコレクションのHornsフォルダには、4つのサックスパッチが入っています。Alto、Tenor、Baritone、Sax Sectionの各パッチは、同じインターフェイスを使用していて、すべてが同じように動作します。ソロ楽器にはアーティキュレーションがあり、パンチの効いた短い音や、伸びやかなレガートまで、速い演奏と遅い演奏両方に対応します。Sax Sectionパッチは、キースイッチでアーティキュレーションを変更し、クレッシェンドとフォールのサンプルが含まれているので、ホーン隊にジャジーな演出を加えることができます。インターフェースのオプションの中でも特に楽しいのがパフォーマンスコントロールで、このオプションではコード、キー、スケールのハーモニーを設定して自動演奏することができます。サックス・セクションのパッチを、ファクトリーのトロンボーンやトランペットと重ね合わせて、Tower of Powerの様な巨大なサウンドを作ってみてはいかがでしょうか。

OR Sax

細かい設定無しですぐに演奏できるFaycel SoundsのOR Saxは、いくつかのユニークな点を持つ商品です。キーボードのMODホイールを使ってビブラート効果をコントロールする追加機能は素晴らしく、「インテリジェントレガート」は、厄介なリリースサンプルを無効にしている限り、ちゃんと機能します。OR Saxは標準的なサックスとしても十分な性能を持っていますが、インターフェイスのミニキーボードを使うことで、よりアラビックな雰囲気を作り出すことができます。鍵盤をクリックしてデチューンすれば、マカム(中東の伝統的な音階)を作ることもできます。サックスの他にも、Faycel Soundsのサイトには、世界中の珍しい楽器を含むフリーの楽器が豊富に揃っており、更にKontaktスクリプトのチュートリアルもあります。

MSLP Sax

The Bigcat instrumentsのブログは、フリーのKontaktインストゥルメントのファンのたまり場です。このブログでは、様々なフォーマットのサックスサンプルが紹介されています。正しいリンクを見つけるには少し手間がかかりますが、見つかればそこからワンクリックで各ライブラリをダウンロードできます。この楽器は、Erick KvistによるMSLPプロジェクトの一部であり、クリエイティブコモンズライセンスの下で40種類の楽器をサンプリングするという大規模なプロジェクトです。MSLPのサックスは30MBと小さく、ベロシティレイヤーも1つしかありませんが、長短のアーティキュレーション(ランを含む)がいくつか含まれています。内蔵のリバーブを使って、ドライサンプルをリアルな部屋に置いて、アンビエンスを加えてみましょう。

Iowa Alto & Soprano Sax

アイオワ大学のご好意により、ソプラノとアルトのサックスのデュオからサンプリングされた音がパブリックドメインとして無償で公開されています。Bigcatブログからのアクセスが必要ですが、この2つの楽器は3つのベロシティレイヤーでサンプリングされており、ビブラートとノンビブラートの両方の演奏スタイルがあります。シミュレートにもかかわらず、レガートは非常にスムーズなサウンドになっています。特にアルトサックスの最低ベロシティを使うと、ジャズクラブのようなスモーキーな雰囲気に仕上がります。レガート、グライド、アーティキュレーションの設定を変更する必要がある場合は、インターフェイスからの調整が可能です。

Club Tenor Sax

Bigcatブログからもう一つ逸品をご紹介。このテナーサックスは、かなり個性的なチューニング方式を採用していますが、それがかえって楽しいものになっています(アルトとバリトンも用意されていますが、テナーサックスが一番お勧めです)。このテナーサックスのサンプルアーティキュレーションには、全音&半音のトリル、ベンド、スミア、グロウ、フォールなどがあります。楽器のピッチは完璧ではないので、即興演奏のキューや作品を作る時に役立ちます。オリジナルのサンプルをスタート地点として、外部エフェクトを加えて、ユニークな音色を作り、サウンドデザインをお楽しみください。

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