現代の音楽制作において、デジタルオーディオワークステーション (DAW) は、音楽制作者にとってのキャンバスであり、レコーディングに使用するすべてのサウンド、音源、ツールの核となるソフトウェアプラットフォームです。
DAWは、複雑なプログラムな上に奥が深く、学ぶべきことがたくさんあります。また、どのDAWを購入するかは、プロデューサーが直面する最大の決断の1つです。そもそも、デジタル・オーディオ・ワークステーションとは具体的には一体何なのでしょうか?何ができて、自分のアスタイルに最適なのはどれなのでしょうか?
この記事では、あなたの創造性を補うDAWをあなたが自信を持って選べるように、DAWの基本を紹介します。音楽におけるDAWの用途、DAWのオプション、そしてNative Instrumentsでサウンドパレットを広げる方法についても触れます。
目次:
DAWとは?
デジタルオーディオワークステーション (DAW) は、オーディオの録音、編集、制作に使用されるソフトウェアアプリケーションです。
DAWは、映画、ゲーム、ポッドキャスティング、音楽、UXなど、さまざまなメディア向けのオーディオを制作できる物理的なレコーディングスタジオをデジタルで表現したものとお考えください。トラックの録音から、ビートの構築、楽器やボーカルパートの追加、アレンジのレイアウト、エフェクトの適用、完成した作品のミキシングなど、スタジオの全プロセスを一つのハブ内で行うことができるため、クリエイティブなアイデアと技術的なアイデアを瞬時に表現することができます。
今日、DAWはその利便性とアクセスの良さから、音楽制作やオーディオ編集の最も一般的な方法となり、アマチュアのプロデューサーからソングライターや業界のトッププロまで、あらゆる人に使用されています。
DAWの使い方
DAWには様々な種類があり、それぞれ独自の機能と利点があります。しかし、多くの場合、デザインや互換性については、さまざまなブランドで共通の基準を確認することができます。ここからは、DAWの一般的な使い方をいくつか紹介します。
1. オーディオの録音/編集
デジタルオーディオワークステーションには、オーディオの録音、保存、編集、再生が可能なシーケンサーが内蔵されています。楽器やマイクから音声を録音するには、オーディオインターフェースが必要です。オーディオインターフェースは、オーディオ信号をコンピュータが処理できるデータに変換し、DAWのようなソフトウェアベースの環境でオーディオを録音/編集することができるようにします。
録音すると、すべてのオーディオが保存され、シーケンサーのタイムラインに表示され、オーディオ波形をカット、コピー、ペーストすることもできます。物理的なテープに録音されたオーディオと同じように、波形をミュートしたり、つなぎ合わせたり、互いにクロスフェードさせたりすることも簡単に行うことができます。
2. バーチャルインストゥルメンツの使用
DAWでは、作曲のためにバーチャルインストゥルメンツ (ソフトウェア音源) を使用することも可能です。バーチャルインストゥルメントとは、シンセサイザー、ピアノ、ドラム、ギター、バイオリン、トランペットなどの物理的な楽器の音を再現するように設計されたソフトウェアプログラムのことです。ほとんどのDAWには純正のサウンドライブラリが搭載されていますが、サードパーティー製のプラグイン (DAW上で起動することで機能を拡張できる外部ソフトウェア) を使用することも可能です。
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MIDIコントローラー
ミュージシャンは通常、キーボードやビートパッドなどのMIDIコントローラーを使ってバーチャルインストゥルメントを操作します。MIDIコントローラーは一見楽器のように見えますが、コントローラー自体に音は入っていません。あくまでコンピューター上のバーチャルインストゥルメントをコントロールするための物理的なインターフェイスです。
3. エフェクトの使用
DAWは通常、リバーブ、ディレイ、ディストーション、コンプレッション、EQなどのオーディオ信号の聴こえ方に変化を与えるためのオーディオエフェクトを搭載しています。バーチャルインストゥルメントと同様に、サードパーティー製のオーディオエフェクトプラグインも存在し、オーディオを好みに歪ませたり変化させることができます。
4. ミキシングとマスタリング
すべてのDAWにはミキサーがあり、すべてのオーディオ信号に対し、レベル、パン位置、周波数の調整やエフェクトをかけることができます。プロデューサーが音楽や他のメディア用の作曲とレコーディングを終えたら、次のステップは、ポストプロダクションで録音された素材の音に磨きをかけるためにミキシングの工程に入ります。
また、マスタリングの工程では、最終的なステレオミックスに磨きをかけます。さまざまなスピーカーシステムやデバイスで素晴らしいサウンドを実現することを目指します。
デジタルオーディオワークステーションの歴史
アナログのハードウェアを使ったレコーディングは、機材が高価で、且つ置き場所も必要で、配線まで複雑といった状況でしたが、コンピューターが一般化したことで、そのプロセスの多くがソフトウェアで代替されるようになりました。
もともとデジタルオーディオワークステーションとは、コンピューターを組み込んだスタジオ設備のことを指していました。技術が進歩するにつれて、1台のコンピューターが制作全体の中心的なプラットフォームとなり、現代のDAWは多かれ少なかれ、その一台の箱の中ですべてを行うことができるようになりました。
とは言え、現代においてもハードウェアを使用することは、直感的な操作性と音にアナログらしさを付加できるという利点があります。 オーディオインターフェイスを介してDAWプロジェクトと接続することが可能です。
DAWの種類
DAWは、さまざまなサウンドや制作アプローチに対応できる強力で汎用性の高いプラットフォームです。どのDAWでも高品質なオーディオを制作することは可能ですが、特に人気の高い、特定の音楽シーンや様々な状況に適したDAWがあります。
ここでは、業界標準の主なDAWと、その多様な使い方をご紹介します。
エレクトロニックミュージック
Ableton Live: Abletonは、エレクトロニックミュージックやダンスミュージックを制作するアーティストにとって、おそらく最も広く使われているDAWソフトです。この強力なDAWは、従来のレコーディングやトラックアレンジだけでなく、ライブでのパフォーマンスにも適しています。エレクトロニックライブセットツールの先駆であり、アーティストに対しスタジオでの制作からステージでのパフォーマンスまで行えるプラットフォームを提供しました。
「アレンジメント・ビュー」と「セッション・ビュー」と呼ばれるクリーンでモダンなデザインの2つの主要なインターフェイスを備えています。後者は、サンプラーのようにその場でトリガーできるループセルを使用しプロジェクトを構築することに重点を置いており、ライブパフォーマンスに多くの柔軟性と自発性を提供します。また、ワーピングツールは、異なるテンポのビートをスムーズで高いオーディオ忠実度と精度で同期させることができるためDJにも好評です。
また、AbletonはMax for Liveという、より詳細なツールキットを提供しています。これを使えば、NativeのREAKTORに匹敵するような、カスタムインストゥルメントやエフェクトをゼロから作ることができます。
ヒップホップ/ビートメイキング
FL Studio: FL Studioは、シンプルで使い勝手の良さが特徴です。シンプルな4トラックドラムマシンから本格的なDAWへと進化し、迅速かつシンプルなビートプログラミングでヒップホップやトラップのプロデューサーに人気を博しました。FL Studioは、制作を開始するために必要なものをすべて備えており、初心者に最適なDAWソフトウェアとして評価されています。また、他のDAWのプラグインとして開くこともできるため、他の機材との親和性も高いのが特徴です。
MASCHINE: Native InstrumentsのMASCHINEは、直感的で素早いビートメイキングを求めるプロデューサーのためのもう一つの確かなツールです。DAWではありませんが、MASCHINEはビート制作の全プロセスをカバーするスタンドアローンのユニットとして機能します。
作曲家
Logic Pro: Logic Proは、市場で最も大きく、最もよく知られたDAWの1つです。シンセサイザー、リアルなサンプリング音源、ループ、エフェクト、プロセッシングツールなど、豊富なラインナップを備えています。
Logicは、より壮大で、より手の込んだオーケストレーションを含む、譜面も描くような作曲家に人気のある選択肢です。最近のバージョンでは、ギターなどの生楽器に使えるアンプやペダルボードのモデリングも搭載しています。
Cubase: Cubaseは、エレクトロニックアーティストとクラシック音楽の作曲家の両方から支持されている、もう一つのビッグネームです。このリストにある他のDAWと同様に、Cubaseは様々なワークフローに対応するために多くの深みと柔軟性を備えており、あなたの予算と要望に適した様々なバージョンが提供されています。
初心者の方
Garageband: Garagebandは、Logicのエントリーレベル用で、言わばLogicの弟分です。Macには無償で付属していることもあり初心者に最適なDAWの1つです。Appleが提供するものなので、Macでのみ利用可能である点は注意しましょう。
Soundtrap: Soundtrapは、DAWの基本的な機能を備えた、初心者のための強力な無償のオンラインDAWです。そのシンプルさは、DAWの基本機能を学ぼうとする人に最適です。
レコーディング/ポストプロダクション
Pro Tools: Pro Toolsは、デジタル技術とコンピューターでの制作への先陣を切った、オリジナルDAWの1つである。前身は「最初のテープレススタジオ」として販売されたほどです。Pro Toolsは当初から、MIDIによるソフトウェア音源のシーケンスよりも、マルチトラックレコーディングとオーディオ編集に重点を置いていました。
プロ仕様のプロセッシングとマスタリングツールのおかげで、多くのトップレコーディングスタジオで定番となっています。また、サラウンドのミキシングやビデオ編集機能により、映画のサウンドデザインに携わるプロフェッショナル向けのDAWとしても人気があります。
どのDAWを選ぶべきか?
制作のニーズに合わせてどのDAW環境を選択するがは、最終的には個人の好みになってきます。あなたのワークフローにとって、より直感的でより快適に感じられるものを選択するのがよいでしょう。DAWの用途を分けてみましたが、実はどれもダイナミックで適応性の高いワークステーションで、制作の全プロセスに対応しプロ品質のオーディオを制作するために必要なツールを提供してくれます。
どのDAWも個々のワークフローに合わせることができますが、それぞれがユニークなレイアウトと独自の操作感を持っています。上記のリストはすべて、無料トライアルや手頃な価格の「ライト」バージョンを提供しているので、1つに絞る前にいくつか試してみることをお勧めします。
DAWには、ソフトウェア音源、ループ、エフェクトのライブラリーが標準搭載されています。それ以外にも、サードパーティ製のプラグインを使ってサウンドを拡張することができますし、Native Instrumentsの製品はすべてのDAWでシームレスに動作します。 KOMPLETE STARTは、スタジオ品質のサウンドとインストゥルメントを集めた無償のパックなので、ここから始めてみるのもいいでしょう。