• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

    Interviews
by Reuben Cornell

懐かしのレトロゲーム風チップチューンの無償KONTAKTライブラリ

コインを入れる必要なし – 無料でノスタルジックなピコピコサウンドをビートに加える4つの方法。

少数のティーンエイジャーがベッドルームでプログラムする所から始まったゲーム業界も、今や、数十億ドルの産業となった。それに伴い、音楽にかける予算も大きくなりオーケストラの録音やサラウンドサウンドのミックスが一般的となったが、初期の頃を振り返ってみると、技術的な制約のためプレーヤーはシンプルな電子音で満足しなくてはいけなかった。そんな中、音楽の魔術師とも呼べるようなRob HubbardMartin Galwayといった当時の才能溢れるオーディオプログラマーは、制約を乗り越えて、コンソールのオーディオチップの限界を最大限に引き伸ばし、作曲や多音色のテクニックを巧妙に用いて、メーカーが考えつきもしなかったようなやり方でハードウェアからサウンドを絞り出したのだ。

今日ではソフトシンセを立ち上げて1980年代に作られたオシレーターの波形を呼び出すことは簡単だが、古いテクノロジーからのサンプリングは、ビンテージ機材ならではのオリジナルな不完全性を強く保っている。そして、KONTAKTのフルバージョンを持っているなら、過去のゲームサウンドを未来へと押し進めてくれるようなサンプルインストゥルメントが数多く揃っていて、さらに良いことに、これらの中には無償のものもあるのだ。今回は、インターネット上で手に入るベストライブラリを4つ紹介する。

Noizedrumz Volume 2 (NanoLoop)

この風変わりなライブラリについてどこから説明を始めようか? 918個のゲームボーイのサンプルは、ノイズ、キック、ハットといった親しみやすい名前のついたカテゴリーフォルダできちんと整理されていて、その他に、エレクトロニックなエフェクトやベースラインとして加工されたサンプルのフォルダもある。KONTAKTパッチはより複雑で、ドラムキットとベースに分けられている。これらの「BooTweak」パッチは様々な設定変更が可能で、8つのプリセットグループは、それぞれチューニング、LFO、エフェクトコントロールを備えている。暗号のようなインターフェースを気に入らない人もいるかもしれないが、音を試したりプリセットバンクを使うだけで、初心者のサウンドデザイナーでも存分に楽しむことができる。もし、ぎっしり詰め込まれた33ページの使い方マニュアルを熟読する時間があるなら、このエンジンを十分使いこなすヒントを手にすることができるが、読む時間がない時はパッチを読み込んでゲームボーイらしいローファイなバイブスを楽しもう。

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Commodore 64 Synthesizer Sessions Deluxe

ある年齢層のデジタルミュージシャンにとって、Commodore 64は特別な存在だ。1980年代の同じ価格帯の家庭用コンピュータの中で抜群の音楽的サウンドだったCommodore 64は、多様なオシレーター波形を生み出せる素晴らしく有能なサウンドチップを誇っていた。頭の良いテクノロジーオタク達が3チャンネルのチップの音響合成の性能を徹底的に研究した結果、ドラムとレトロなスピーチのための4番目のサウンドが絞り出され、そこから伝説が生まれた。Rhythmic RobotとBedroom Producer’s Blogのコラボレーションであるこのライブラリは、4台の異なるマシンからのCommodore 64のサウンドサンプルと30個のパッチでできている。C64らしい外見のインターフェースを装備し、パッチは、メジャーとマイナー両方の早いアルペジオのコードと完全なドラムキットを含む典型的なC64サウンドを兼ね備えている。チップチューンファンをターゲットにしたものではあるが、太いベースのパッチのいくつかは最新のハウスミュージックに使うこともできる。インターフェースの機能は無償ライブラリとしては大変使いやすく、 フィルターとアンプエンベロープ、グライドモード、ステレオプレイスメント、ビブラートを装備している。また、フィルターレゾナンスをハードにかけると、魅力的なサウンドの嵐を生み出すことができる。

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Super Audio Boy

熱狂的なレトロゲーム愛好家で開発者であるImpact SoundworksことAndrew Aversaは、間違えなくKONTAKTのチップチューンサウンプリングの世界でおじいちゃんと呼ぶべき存在だ。彼は本格的なダンジョンタイプのロールプレイングゲームを作ってしまうぐらいレトロゲームのことを愛しているので、その名が全てを表しているSuper Audio Cartを開発したことについては何の驚きもないだろう。今回紹介する無償版は、フルバージョンの特色が体験できるスピンオフ版だ。フルバージョンには8種類のゲーム機のサンプルが含まれているが、それに対し、無償版に含まれているサンプルはゲームボーイのものだけだ。しかし、波形は4つまで重ねることができ、数多くのFX、エンベロープ、モジュレーション、LFOが使えるといった他の様々な特徴は全て含まれている。インターフェースのアルペジオセクションは特に注目してほしい部分で、トラディショナルなコードからディレイシーケンサーや完璧なメロディまで、30種類以上のプリセットが装備されている。シーケンスのそれぞれのステップに異なる波形をアサインすれば、オリジナルのゲームボーイらしいパルス音の魔法を再現することができる。見落としがちな点だが、50個のスナップショットもぜひインストールしてみてほしい。これは、ゲームボーイのベーシックな波形でも、重ね合わせてエフェクトをかければ現代的なサウンドになるという素晴らしいお手本だ。

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Game Bot Drum Kit

ダウンロードサイズがたったの5MBだということに騙されないでほしい。このサンプルコレクションは、その大きさを遥かに上回る威力を持っている。LSDJソフトウェアとゲームボーイ実機を使って抜き出した64個のサンプルはどれもクリーンかつドライで、加工して個性的なサウンドを作り出すための可能性に溢れている。KONTAKTパッチのうち3つはとても基本的なもので、キーボード上でサンプルをマッピングし、リバーブ、エンベロープシェイピング、ディレイ、フィルタリングの適当なダイヤルが装備されている。モッドホイールはビットクラッシャーエフェクトにアサインされていて、ローファイなサンプルをもっとバキバキにしたい時にもってこいだ! 本当のお楽しみは4番目の「gamebot」パッチにあり、様々なオプションを持つセミランダムなドラムマシンにサウンドを通して、音をさらにワイルドに加工することができる。このシーケンサーは、ホストのDAWのテンポと同期させることで、様々なダイアルのシード値に基づくドラムパターンやモジュレーションを生成してくれる。また、リバーブのスペースもランダムに設定できるので、とても奇妙なアンビエンスを生み出すことも可能だ。親切なことに、この頭を掻き回すようなドラムマシンには便利なマニュアルがついているので、深く知りたい時はぜひ読んでみよう。

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