• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

    Interviews
by Ronan Macdonald

絶対に外せない定番の
無償REAKTORライブラリ5選

ユーザーライブラリの20年の歴史から、ベストなシンセ、ドラムマシン、エフェクトを紹介する。

20年以上に渡り、REAKTORユーザーライブラリはREAKTORの世界を大きくサポートし続けてきた。コミュニティー精神溢れる多くのデザイナー達の貢献によって、創造性豊かな音響合成、サンプリング、シーケンシングそしてプロセッシングのアンサンブルの貯蔵庫はどんどん成長し続けオンライン上で無償でシェアされている。年月を経て、いくつかのインストゥルメントやエフェクトはモダンクラシックとしか言い表せないような存在となり、めまぐるしく移り変わる音楽業界のテクノロジーやスタイルの変遷の中でも、生き残り、変わらぬ魅力を持ち続けている。

今回紹介する5つの「ビンテージ」のREAKTORユーザーライブラリは、どれもNIのお気に入りで長く使い続ける価値のある素晴らしいクリエイティブツールばかりだ。必須アイテムである理由についての記事を読んだ後には、リンク先から無償でダウンロードもできる。尚、これらを使用するためにはフルバージョンのREAKTORが必要だ。

Lifeforms03

Rolf Schmuckによる「セミランダム・オーガニック・テクスチャー・ジェネレイター」は、完全なる無調音から驚くほど音楽的なサウンドまで、アンビエンス、サウンドスケープ、SF風ノイズを生み出し、特にアンビエント作曲家のマストアイテムだ。興味をそそるサウンドばかりなので、思わずランダムボタンを連打してしまうだろう。Lifeforms03の内部の仕組みはよくわからないが、ソー/パルスオシレーター、フィルター、グレインディレイ、リバーブなどのコントロールを使って実験することで、様々な種類のウサギの穴を試すことができる。奇妙な音になってしまった時でも、51個のスナップショットが安全な避難場所を提供してくれるので安心だ。

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Oki Computer

今年で17歳になるTimothy Lambの手軽で小さなシンセは、レトロスタイルの電子音が得意技だが、少し頭を捻って音の加工やプログラムを行うと、簡単に今っぽいサウンドを作ることができる。モーフィングするサンプルベースのオシレーターがソースシグナルを提供し、「Table」ステップシーケンサーでは波形とボリューム、ピッチ、フィルターカットオフ、そして、シーケンスのプレイバックとピッチが調整できる。3つの柔軟性に富んだマルチステージエンベロープでもヴォリューム、ピッチ、カットオフの調整が可能で、8-bitリダクションとコーラスエフェクトは全体をいい感じにまとめてくれる。生き生きと変化し続けるリード、ベース、FXなどにぴったりのマシンだ。

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Drummachinewsky

今回紹介する中では比較的新しいライブラリで、ユーザーライブラリ界に登場してからわずか9年、Tom Büttnerの素晴らしいアナログスタイルのドラムマシンは、ノイズとFMのスリーオシレーター12個から構成されていて、ドラム、シンバル、ハンドクラップといったパーカッションサウンドの音響合成を行ってくれる。64ステップのマルチトラックシーケンサーの各トラックには、 それぞれLengthセッティングがあるので、ポリリズムをつくることもできる。また、6つのモジュレーションレーンではパニング、カラー、ピッチ、アタック、ディケイ、ロールのオートメーションが可能だ。Chokeグループを使えばリアルな響きのハイハットを簡単に作ることができ、EQ、コンプレッサー、リバーブ、ディレイエフェクトを使えば手軽に音を加工したり磨きがかけられる。何よりも重要なことは、サウンドが大変素晴らしいという点で、繰り返し使いたくなるような時代を超えた本質的なビートボックスなのだ。

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Kinderklavier toy piano

多作なアンサンブル職人として知られるGabriel Mulzerが「精密なモデリングの練習作」と呼んだKinderklavierは、マグネットピックアップとリバーブが装備されたトイピアノのエミュレーションで、完全にアルゴリズムのみで制作された (つまり、サンプルは全く使っていない) 。3つの「quality」レベルはトーンロッドとサウンドボードでそれぞれ別に設定可能。実際の現実世界でのトイピアノ、「理想的」なトイピアノ、そして「純粋に数学的」で想像的なサウンドの中からサウンドプロフィールを選ぶことができ、弾性、ロッドの抵抗力、キーリリースのインパクトなど、いくつかのパラメーターは細かい調整が可能だ。表現豊かなモデリングに加え、付属のピックアップのおかげで、鍵盤楽器のグルービーな一面も兼ね備えている。

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herMan FiLterbank

90年代から2000年代の中で最高峰のフィルターと呼ばれていたSherman Filterbankが、Kassian Troyerによって2004年にエミュレーションされた。特筆すべき点は、素晴らしいクオリティと使いやすさに加えて、なんとTroyerは実機を持っていないにも関わらずオリジナルハードウェアの細部の囁きまでも再現したのだ! 2つのレゾナントフィルターはシリアルとパラレルのルーティングの間を自由にミックスすることができ、フィルターコレクションのコントロールを使えば、ローパスからバンドパス、ハイパスまでレスポンスをモーフィングすることができる。インプットや外部からのシグナルを用いれば、入力にトリガーされたADSRやエンベロープフォロワー、LFOなど様々な値でのモジュレーションも可能だ。Troyerがどうやったのかはわからないが、約15年前に発表されたheRman FiLterbankは、REAKTORの歴史的事件の1つだ。

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Sound design: Konstantin Grismann

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