• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

    Interviews
by Evan James

2000年代を象徴する6つのサウンドを簡単に再現する方法を紹介

シリーズ第2段となる今回の記事では、2000年代を彩ったサウンド、そしてそれらをKOMPLETEで再現する方法を紹介しよう。

21世紀は「2000年問題」と共に波乱の幕開けを迎えた。米国ポップス文化のグローバル化に伴い、Heelys、Livestrongブレスレット、T9テキスト、そしてベロアのトラックスーツなどが我々の生活を快適で破滅的なものへと変えていった。しかし、同時にインターネットの急速な成長は音楽シーンに多大な影響を与え、多くの新しい音楽が誕生し、人々の音楽の聴き方が一変した。特にヒップホップとR&Bのジャンルは2000年代に商業的ピークを迎え、音楽シーンを席巻することとなった。

この急速な環境の変化はAaliyah、Eminem、Usher、Jay-Z、D’Angelo、Mary J. Blige、そしてDestiny’s Childを卒業したBeyonceなどのアーティスト達を誰もが知る存在へと成長させた。TimbalandやThe Neptunesなどの一流プロデューサー達の導き、そしてニッチなサブジャンルに世界中からアクセスしやすくなった環境によって、彼らのようなアーティスト達は想像力、国際色豊かな新時代へと足を踏み入れ、今なお続く音楽シーンの礎を築いたのだ。

我々の25年の歴史と共に音楽シーンを振り返ってきたこの3部作の2作目となるこの記事では、2000年代に焦点を当てた。時代を彩った各トラックの解説や、エキスパートによるそれらのサウンドを再現する方法を紹介する。3部作シリーズの前作である90年代のサウンドについてはこちらの記事をチェックしよう

Missy ElliotとTimbalandが世界に与えたインスピレーション

リズムに重きを置いたドラム打ち込みとパーカッシブなサンプルやシンセで知られるTimbalandが手掛ける楽曲は国際音楽チャートトップ10の常連であり、世代を問わず、世界中のビートメーカーやプロデューサー達に影響を与えてきた。彼が手掛けたMissy Elliottのアルバム、So Addictiveに収録されているリードシングルは国際色豊かな影響をパッチワークのように繋ぎ止めている。イントロは「これから皆でメチャクチャ踊って、騒ごう騒ごう」という日本語の語り口から始まり、アップビートなパンジャブのメロディに引き継がれ、ドイツ人アンビエントアーティストであるKaruneshのサンプルが混ざり合う。このシングルはまさに「世界情勢」と呼ぶに相応しいだろう。

催眠的な6音のリフにTimbalandは高音が特徴的なパンジャーブの1弦楽器、トゥンビを使用している。他にもポップス界では馴染みのなかったインド楽器のタブラなども使用しており、これらの楽器が織り成すバングラビートはこの曲を一躍有名にした。このトレードマークとも言える彼のサウンドを再現するには、Spotlight CollectionのINDIAライブラリに収録されているTablaを使用してみよう。

Flying Lotusの歪んだビート

サイエンスフィクションの宇宙的な美学、常識に囚われない制作方法、そしてJ Dillaのクオンタイズしないグルーブ感をインスピレーションに作られたFlying Lotus (別名Steven Ellison) のスタジオデビューアルバム、1983は数多くの新世代のビートメーカー達を生み出し、引率した。DabryeのTwo/Threeと共に、これらの誘惑的なオフビートの探求は抽象的で左翼的なヒップホップのサウンドデザインのモデルとされ、現代でもその影響は残っている。

Flying Lotusは1983の刺激的なサウンドを、クオンタイズなしの不正確なドラム打ち込み、実験的なサウンドデザイン、そしてシンセ感の強い和音を組み合わせることで作り上げている。その低音の効いたドラムビートを再現するには、我々のExpansion BURNT HUESを使用してみよう。

MIlkshakeのファンキーなシンセとパーカッション

ソロアーティストとして成功を収める遥か昔、Pharell Williamsはアメリカの伝説的な音楽デュオ、The Neptunesの一員であった。90年代はマルチインストゥルメント奏者兼プロデューサーのChad Hugoと共にNoreagaやOl’ Dirty Bastardなどのニューヨークラッパー達と数々のヒットを飛ばしていたが、その後、長年の制作パートナーとなるKelisとのコラボレーション曲、Milkshakeで大成功を収め、彼らは名実ともにスーパープロデューサーの仲間入りを果たした。Milkshakeはその歌詞にもあるように「brings all the boys to the yard = 庭に男子達を集合させた」婉曲なバンガー曲だ。

元々はBritney SpearsのIn The Zoneの為に提供されたMilkshakeだが、The Neptunesの代名詞であるシンセファンクのサウンドは健在だ。大きなノコギリ波シンセとオーガニックなパーカッション、そしてロービートなダンスグルーブが見事に混ざり合っている。このサウンドを再現するには、MONARKのプリセット”Tom Saw Ya”とMIDDLE EASTに収録されている”Tarbuka 1”のパーカッションを使用してみよう。

Peachesのエレクトロパンクなドラム

Peachesとして約10年の活動を経て、カナダ人ミュージシャン兼パフォーマンスアーティストのMerrill Niskerはベルリンへと移住、ユニークなレコードレーベルとして知られるKitty-Yoと契約を交わした。この組み合わせは素晴らしい化学反応を起こし、その結果として生まれたのが名作エレクトロクラッシュアルバムのThe Teaches of Peachesだ。1曲目のFuck the Pain Awayは激しいベース、グライム的なパンクサウンド、そして芯のある909ドラムと共に大胆な性的表現が執拗に繰り返される。BlondieとPretendersのリードボーカルであるChrissie Hyndeも歌詞に登場しており、当時としてはまだ珍しかったセックスポジティブポストフェミニズムをさりげなく主張していた。この曲はThom Yorke曰く、Radioheadの“15 Step”にもインスピレーションを与えたそうだ。

この愉快なローファイサウンドを再現するため、我々はSoniccoutureの素晴らしいKONTAKT用エレクトロアコースティック音源を使用して類似のパターンを打ち込み、それにVHSテープの「不完全さ」をサチュレーション、ピッチ変化、そしてノイズ等の要素で再現するREAKTOR用の無償エフェクト、VHS Audio Degradation Suiteをかけた。パンチのあるエレクトロニックドラムにはBATTERYのプリセット、または自分で作り込んだDRUMLABなどを使用してみよう。

The StreetsのUKガレージとヒップホップの融合

The Streetsのデビューアルバム、Original Pirate Materialに収録されているリードシングルの中で、イギリス人ラッパー兼マルチインストゥルメント奏者であるMike Skinnerは2ステップとUKガレージリズムにヒップホップと語り言葉を融合させることで、瞬く間に彼の代名詞となるサウンドを作り上げた。アメリカのヒップホップの強い影響、そしてイギリスの労働階級の生活についてのユーモア溢れる逸話を取り入れたこのアルバムはNMEの“100 Best Albums of the Decade”9位、そしてPitchforkの“Top 200 Albums of the 2000s”36位にランクインを果たした。

The Streetsらしいヒップホップとガレージの融合したサウンドを再現するには、まず、我々のExpansion BUMPIN FLAVAからドラムサンプルを探してみよう。そして、ガレージ感のあるサブベースにはMASSIVE Xのプリセット”Bump”を使用してみよう。シンプルなサウンドだが、Skinnerのダウンビートなミニマリズム感や憂鬱的な魅力を真似るには訓練がいるかもしれない。

Digital Mystikzから定義するダブステップ

Sonny Mooreが髪型をトレードマークのサイドカットにし、Skrillexとして活動を始める遥か前からMark Lawrence (Mala) とDean Harris (Coki) は彼らの原型となる音楽制作デュオ、Digital Mystikzとして不規則にシンコペーションするサブベースの楽曲を作っていた。そう、ダブステップの原型だ。まだSonny MooreがポストハードコアバンドのFrom First To Lastのリードボーカルとして腹の底から叫んでいる最中、彼らはベースミュージックの未来に大きな影響を与えることとなるナイトクラブ兼レコードレーベルのDMZを設立し、世界的に知られる事となる「ダブステップ」の基盤を作り上げたのだ。

ダブステップのジャンルを開拓した彼らの最もアイコニックなトラックの1つである“Anti War Dub”のサウンドを再現するにはMASSIVEのプリセット”Bull Trava”を2つレイヤーさせて、片方を2オクターブ上げてみよう。

我々の25周年記念を祝福する要素はまだまだあります。こちらをクリックしてTWENTY FIVEを無償でダウンロード、そして特別なKOMPLETEを含む25th Anniversary Collectionも忘れずにチェックしよう。MASCHINE、そしてTRAKTORのハードウェアはそれぞれUltravioletとVapor Grayの2色が展開されている。

Sound design: Konstantin Grismann

関連記事

Cookies

このウェブサイトではより良いユーザー体験を提供するためにCookie(広告、分析、ソーシャルメディアのCookieを含む)を使用しています。

Cookieを管理する

Cookieについて詳しく知る