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by Native Instruments

エレクトロニックミュージックの制作に役立つヒントとコツ

エレクトロニックミュージックを作り始めるために必要な基礎知識をお教えしよう。

もしもあなたがテクノ、ヒップホップ、EDMなどのファンであれば、自分もこのような音楽を作ってみたい、と考えたことがあるかもしれない。それと同時に、何から手を付けるべきか迷うことだろう。その理由はいくつか考えられる。まず、聞き慣れたアコースティック楽器を含まないエレクトロニックミュージックのサウンドは聴いただけではどのようにその音が作られているのかが想像しにくい。また、アーティストのスタジオ写真の中に積まれた大量の機材やスパゲッティ状のケーブルに壁を感じることもあるだろう。しかし安心してほしい。エレクトロニックミュージックやサウンドデザインに技術的な知識が必要なことは確かだが、限られた人にしか作れない訳ではない。反対に、テクノロジーの進化によりプロレベルのソフトウェアを一般的なデスクトップやラップトップで使用できるようになり、今ほど音楽を作り始めるのに適した環境はないだろう。この記事ではエレクトロニックミュージックを作り始めるために必要な基礎知識をご紹介しよう。

エレクトロニックミュージックとはその名の通り、エレクトロニックやデジタルな楽器で作られた音楽だ。故に、パソコンの普及やシンセサイザー、ドラムマシン、サンプラーなどの発明がされた過去50年間に発展した音楽を指している。これらのテクノロジーの進歩はすぐにミュージシャンの働き方に影響を与え、新しい音楽の形、スタジオ技術、そして面白い未来的なエレクトロニックサウンドを生み出した。様々なジャンルやサブジャンルが誕生し、その無限に派生したジャンルは音楽好きにとっても分類が難しい。その中でも変わらぬ存在感で影響力を保ち続けている主要なジャンルのいくつかをご紹介しよう。

最初にご紹介するジャンルはハウスとテクノだ。これらのジャンルは異なるサウンドとファン層を持っているが、どちらもディスコミュージックから派生しており、共通する基礎要素が多い。安定した4つ打ちのキックドラムを中心とした型のあるアレンジ、そしてグルーブ感のあるソウルフルなサウンドが特徴的なハウスミュージックに対して、テクノミュージックはより強く、速く、そして機械的なサウンドが特徴的だ。しかし、これらのジャンルを隔てる明確な点は存在しない。共通要素が多いため、DJもこれらのジャンルをセット内で混ぜ合わせることがある。ハウスとテクノは最も普及しているエレクトロニックサウンドであり、世界中のナイトクラブではもちろん、主流なポップスへの影響も強くなっている。

EDMを筆頭にエレクトロニックミュージックの人気は上昇し続けており、特にアメリカでの人気が高い。ハウスやテクノとの共通要素も多く、EDMは4つ打ちのキック、印象的なベース、そしてリードラインなどの主要な要素を強調するような隙間のあるアレンジが特徴的だ。EDMではダブステップのバンガーに見られる壮大なビルドアップやクライマックスも多様され、その大きく重たい強烈なドロップサウンドは国際的な成功を収めた。EDMは主にスタジアムなどの広い会場でDJがパフォーマンスを行うが、馴染みやすいポップス的なサウンドから音楽チャート入りすることも多く、日々のラジオで耳にする機会もあるだろう。EDMは「Electronic Dance Music」の略であり、元々は全てのダンスミュージックを指す名称だった。多くのプロデューサー達がDeadmau5、Martin Garrix、そしてAviciiなどの音楽を参考にEDMを作り始めた結果、最近では独立したジャンルとして認識されるようになった。

次にご紹介するエレクトロニックなサウンドや楽器を使用する代表的なジャンルはヒップホップだ。ヒップホップには独自の歴史と文化があり、そのアレンジやサウンドはダンスミュージックとは異なるものの、クラブでも演奏されることがあり、ダンスに適した「パーティーミュージック」として位置付けられている。その中でもサブジャンルであるトラップは近年人気が急上昇しており、ポップス界へのクロスオーバーも果たしている。大きな808ドラム、連射するハイハット、そしてドラッグ、宝石、セクシャルな内容の歌詞が特徴的なトラップはギャングスタラップのモダンな解釈として、新しいサウンドを次世代に届けている。そして、その反対に位置するサブジャンルがローファイビートであり、レイドバックで空間的なサウンド、ジャズ的なコード、そしてレコード盤やテープ録音のようなアナログ的な質感を特徴としている。昔のヒップホップレコードは機材的な制限により必然的にローファイなサウンドだったのだが、現代のプロデューサーはその魅力的なヴィンテージ感をローファイミュージックの旨味として再現する方法を探っている。ローファイビートは比較的最近のトレンドとして主にオンライン上で人気を博しており、日常シーンの背景に流れるムード音楽として使用されることが多い。

もちろん、その他にもドラムンベース、IDM、エレクトロニカなど数多くのスタイルやジャンルが存在する。そして、その絡み合うように派生する様々なスタイルを発掘するのは音楽の楽しみの1つだ。時代と共にアコースティックとデジタルサウンドの境界線が崩されていく様もとても面白い。モダンなテクノロジーは従来のロックやポップスのレコーディングやプロセッシング方法を進化させると同時に、アコースティックなサウンドをサンプルしてエレクトロニックミュージックに取り入れたりなど、多くの可能性を広げている。完全にアコースティックだと思われがちなクラシックやオーケストラ音楽にもサンプル楽器の使用は増えており、KONTAKTコレクションなどのソフトウェアサンプラーがあれば様々な楽器を高品質なサウンドで再現することが可能だ。これらのモダンなツールは生楽器の質感やダイナミクスを忠実に再現することが出来るので、近年では多くのオーケストラ曲がデジタル上で作曲、録音されている。世界的な奏者の音をそのままあなたの音楽で使用することが出来るのだ。

KONTAKTの製品情報

ツールと知識: エレクトロニックミュージックの作り方

エレクトロニックミュージックは一般的なパソコンが1台あれば作り始めることが出来る。それではエレクトロニックミュージックを作るために必要なツールを見ていこう。まず、DAW (Digital Audio Workstation)が必要だ。DAWはプロジェクトのコントロールセンターとなるソフトウェアで、様々な素材を録音、アレンジする場所だ。業界基準とされるDAWは何種類か存在し、それぞれに長所と短所があるが、基本的に行えることは同じだ。どのDAWがあなたに適しているかは主観的なものであり、あなたの作業スタイル次第だ。幸いなことに、多くのDAWには無償のトライアル版や簡易バージョンが存在するので、購入する前に色々と試すことが可能だ。

DAWにはバーチャルインストゥルメントやエフェクトプラグイン、そしてあらゆるサウンドを録音したサンプルライブラリが付属していることが多い。このようなオプションはEXPANSIONSなどのサウンドライブラリで拡張することができ、様々な音楽ジャンルに適した製品が多数存在する。さらに、DAWに対応しているサードパーティ製のソフトウェアサンプラーやシンセサイザーを使用することでサウンドを増やすことも可能だ。サンプラーとシンセサイザーの違いは発音原理にあり、サンプラーは録音されたオーディオをトリガーすることで音を鳴らすのに対し、シンセサイザーはオシレーターで1から波形を作ることで音を鳴らす。このような相違点もあるが、インターフェイスやエディットのコントロール部分には共通点が多く、どちらもエンベロープ、フィルター、エフェクト、そしてLFOなどを使って音作りを行う。

どのようなセットアップにもスピーカーやヘッドホンなどの音のアウトプットが必要だ。そして、そのアウトプットには可能な限りフラットレスポンスの製品を使用することで正確なモニタリング環境を心がけたい。一般的な「高音質」スピーカーよりも「モニター用」スピーカーの方が制作には適しており、また、スタジオ用ヘッドホンは「心地良い」サウンドではなく、「正確な」サウンドを再現することを目的としている。パソコンに備わっているヘッドホンアウトプットだけでも音楽制作は可能であり、始めはそれで十分かもしれないが、USBオーディオインターフェースを使用すれば録音やリスニングの品質が大幅に向上し、インプットとアウトプット数も増えることで自由度が増すので、ぜひ手に入れたい。

多くの経験豊富なプロデューサーはソフトウェアよりもハードウェアを好む傾向があり、後者の方がより深みのある、リッチでユニークなエレクトロニックサウンドを作ることが可能だとされている。多くのヴィンテージアナログ機材には特殊な癖や予測不能なサウンドの味付けがあり、それが音楽に個性を与えるのだ。このような個性はパソコンで完結するようなクリーンなデジタル処理では起こり得ない。サンプルや録音された伝統的な生楽器を取り入れ、アコースティックとエレクトロニックなサウンドを融合させることでよりユニークで表現力豊かなサウンドを生み出すことも可能だ。しかし、1つ覚えておいてほしいことがある。誰しも陥る罠なのだが、新しいハードウェアやソフトウェアを買い足すことだけが新しい音楽を生み出す方法では無い。すでに所有している製品についてより深く学ぶことで生まれる発想もあるのだ。

著名なイギリス人のプロデューサー兼DJのAndrew Weatherallは「アートの民主化、特にエレクトロニックミュージックの敷居の低さ」を指して、諸刃の剣だと発言している。音楽を作る人が増えればトラックのリリース数も日々増え続け、市場飽和のリスクが生まれる。素晴らしい音楽が日々生まれると同時に、競争は激しさを増し、認知されることがより一層難しくなる。この現状に悲観的になるよりも、これを新しいチャレンジと捉えて、向上心やプロセスの学びに対するモチベーションとして、より多くの新しいサウンドを生み出すきっかけとしたい。

必要な機材を揃えるのと同じように、ある程度の音楽知識を身に付けることも前提条件となるが、その点に関しては様々なアプローチ方法がある。あなたが学びやすい方法を見つけてほしい。実際に音を鳴らして、音楽を作りながらの方が学びやすい人もいれば、理論を身に付けてから適応させる方が学びやすい人もいる。エレクトロニックミュージックは伝統的な音楽理論の視点からでも、まっさらな視点からでも、アプローチすることが出来る。どちらにせよ、音程の合う合わないの理解は必要なので、スケールやコードの基礎的な知識は役立つだろう。MIDIキーボードやコントローラーを使用すればより視覚的に音楽を捉えることが出来る。

その一方で、成功しているエレクトロニックミュージシャンには正当な音楽教育を受けていない者が多く、エレクトロニックミュージックを学ぶ過程にはソングライター、作曲家、ライブパフォーマー、サウンドエンジニアなどの分野が入り混じっている。音楽の作り方に正解はなく、多くの場合、音楽は理論と試行錯誤の末に生まれる。発想は不意な出来事から生まれることが多いが、準備次第で時間の節約やワークフローの効率化を図ることは可能だ。インターネットは情報の宝庫であり、解説やチュートリアル動画からフォーラム内の技術的なQ&Aまで見ることができる。作曲とは終わりなき学びのプロセスであり、第一線で活躍するプロでさえ、失敗の可能性がつきまとうものである。失敗は学びや成長のチャンスだと考えてほしい。忍耐力が重要だ。そのプロセスに苛立ちを覚えることもあるかもしれないが、集中できる環境を整え、ペースを守って訓練を行い、「創造することはこの世で最も幸福な感情なのだ」という信念、プライド、そして充実感を持ってほしい。

音楽的なアイデアをスケッチして組み立てる際、ジャンルに応じた型を真似ることが手助けになるかもしれない。例えば練習として、DAWに好みのトラックを取り入れて、それを参考に全く同じ物を作ってみよう。音楽を個々の要素に分解し、分析することで曲の特徴がどのように作られているのか、ジャンルの共通要素は何なのか、などを読み取るための能力が培われるはずだ。そして、ドラムビート(キック、スネア、ハイハットなど)、ベースライン、フックやリード、コードやテクスチャーなどの主要素材に様々な組み合わせ方があることに気付くだろう。基本的な部分を理解したら、今度は常識的なアプローチを避けることで自分ならではのサウンドを作り出すことも可能だ。どんな時も、オリジナリティに勝る派生はない。

最低限納得のいく音楽が作れたら、友達やオンライン上で共有して建設的な感想をもらうことが役に立つ。完全に満足しきれなくても、プロジェクトを終わらせる癖をつけよう。エレクトロニックミュージックを作る過程で、最初のアイデアを思い付くのは簡単だ。難しいのはそれを完成させることであり、そのためには自身に対する規律やモチベーションの維持が必要になる。アーティストとは自身の作品に対する評価が過度に厳しく、満足しきることはないと覚えておいてほしい。大切なのはこれ以上の作業は効果的ではないというラインを見極めて、これで完成だ、と判断出来るようになることだ。

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