by Mick Benjamins

Daniel Jamesが語る、ゲームのための音楽作り

映画やゲームの音楽を手がける作曲家Daniel Jamesへのインタビュー。ゲーム業界での経験や作曲へのアプローチについて聞いた。

photo by Ryan Connolley

サウンドデザイナーや作曲家として多方面にわたって活躍しているDaniel Jamesは、ゲーム音楽への情熱を反映したキャリアを歩んできた。「ターミネーター: 新起動/ジェニシス」などの映画音楽や「メタルギアソリッドV」をはじめとする数多くのゲーム音楽に関わる一方で、制作パートナーAaron Frensleyと共にサンプルライブラリーの制作会社HybridTwoを設立。NI はJamesにインタビューを行い、彼の未来的なシネマティックサウンド、彼が使っている技術、そして、この業界に携わるようになったきっかけについて尋ねた。

 

作曲はいつ頃から始めましたか?

14歳の時に「メタルギアソリッド2」のトレイラーを見たんだけど、この時生まれて初めて音楽に対して感情的な反応があったんだ。理由はわからないけど、いつかこのシリーズの仕事がしたいと思った。それからゲームのデザインやプログラムを始めるようになって、ArtonFrensleyと一緒に仕事をするようになった。彼は僕の小さなプロジェクトのために音楽を作ってくれたんだ。 彼は素晴らしい作曲家で、僕を音楽に夢中にさせてくれた。それで僕は彼にしつこくせがんで、コンピューターで音楽を作る方法を教えてもらうようになった。25鍵のMIDIキーボードを買い、一緒に付いてきた無償版のAbleton Liveをインストールして音作りを始めたんだ。でも僕を虜にした「メタルギアソリッド」のトレーラーを見た時、なぜそれほど衝撃的だったのかやっと理解できた。それはあのHarry Gregson-Williamsの素晴らしいサウンドトラックだったからなんだ!スクリーンと完璧に連鎖する躍動感あふれるリズム。ソリッドスネークの武器が火を吹くと、雄大なオーケストラホーンも鳴り響く。

音楽教育は受けたのですか?

音楽教育を初めて受けたのは大学生の時。すでに20歳だったので、最近の作曲家にしてはかなり遅い方かな。その2年間で音楽の基礎理論とキーボードのスキルを学び、それは今でも役に立ってるよ。オーケストラや映画音楽、サンプルライブラリーについては学ばなかったけど、基礎的な音楽トレーニングを受けることは良い土台になると今でも感じている。大学を出て勉強はやめたけど、行動することで学び続けた。何か興味を持つと、すべて理解できるまでインターネットで調べるんだ。こうすることが自分独自のスタイルを見つけることに役立つ。


初めてのプロジェクトに至るまでの経緯を聞かせてください

それはとても自然な流れだった。 映画会社、ゲーム製作会社、トレーラー会社など、音楽を必要としているかもしれない人のリストを作ったんだ。 意欲のあるディレクターやディベロッパーが出入りしているオンラインフォーラムを見つけ、そこで彼らと接触を持ち始めた。同じような夢を抱いている人たちと出会い、純粋な友達関係を築いた。そんな時、大好きなあのゲームシリーズを基にした「Metal Gear Solid: Philanthropy」というファン映画に出会ったんだ。作曲家はすでにいたんだけど、とにかく僕がメタルギアソリッドの大ファンで、そのプロジェクトをものすごく楽しみにしていることを伝えた。監督のGiacomoTalaminiとも話して友達になった。そして、ほんの遊びのつもりでメタルギアソリッドのスタイルで曲を作り始めたら、その曲を聴いたGiacomoが気に入ってくれて、しばらくしてからメッセージが届き、音楽スコアで人が足りないから手を貸してくれないかって話をもらったのさ。それが僕の初プロジェクトになった。


どのようなセットアップを使ってますか?

曲作りにはMac Proを最大仕様で使い、8TBのサンプルライブラリーが入った外部SSDドライブをUSB3経由で接続している。DAWは、 MIDIのデータコントロールに優れサラウンドサウンドに対応しているCubaseに切り替えた。ArturiaのMatrix Bruteハードウェアシンセを持っているけど、どちらかというとスタジオに依存しない方法で作業する方が好みなんだ。M-AudioのBX8という安いスピーカーはもう10年以上使っていることもあって、そのサウンドを十分に心得ている。Sonarworksのスピーカーキャリブレーション・ソフトウェアを組み合わせると、自信を持ってミックスすることができる。MIDIキーボードはM-Audio Keystation 61、MIDI CCデータの入力にはKorgのNano Kontrolを使っている。

一番重要なツールはKontaktなんだ。最初の頃はサンプルライブラリーは使わず、自分でサウンドをデザインしていた。 ランダムにレコーディングしたサウンドをKontaktに取り込んで、作っている曲にフィットするまでプロセスを重ねる。この方法の方が好きな人もいる。だって僕にプロジェクトのサウンド作りを依頼してくるわけだからね。

Aaron Frensleyと一緒にHybridTwoというサンプルライブラリーの制作会社を立ち上げた。Kontakt Scriptを使ってKontaktの内部で独自の音源を作るのだけど、他には存在しないような斬新なエフェクトやシーケンサーも開発している。「Project Alpha」 と 「ProjectBravo」はどちらも高い評価をもらい、現在は第3弾の音源 「Project Chaos」を開発中なんだ。これまで以上の仕上がりなので、楽しみに待っていてほしい。


KONTAKTがメインツールだと知って、とても嬉しいです!

サンプルライブラリーの開発はキャリアの目標ではなかったけど、仕事のペースが落ちても自分の創造性はそうじゃないことを学んだ。面白いもので、最初は空き時間で個人的なサウンドバンクを作っていたのに、それが商用のサンプルライブラリになってしまった。今じゃ暇な時間はYouTubeに費やしているよ。

どうしてYouTubeにアップロードを始めたのですか?

ある時期に、自分の昔の作品を聞き返してみて、「一体どうやったんだっけ?」って思ったんだ。その頃からYouTubeにアップロードするようになった。まず始めに、自分がどのようにスコアを作ったのか振り返ることができる。次に、自分がどれだけ成長したか確認できる。 チャンネル登録者が増え、中にはKontaktのサンプルライブラリーについて僕の意見を尋ねてくる人もいるので、レビューを始めたりもしている。これらのビデオはvlogよりもトラフィックが多くて、気が付いたら、手にできるライブラリーを全部カバーしようと躍起になっていた。


あなたの次の目標はどんなことですか?

数年間一生懸命働き、学び、教え、交友関係を築き、自分のブランドを立ち上げた後に、昔から憧れていた 「メタルギアソリッドV」のプロジェクトに参加できた。それを一番の目標としていたわけだから、正しいキャリアの選択をしたんだと思う。

「メタルギアソリッドV」のメインコンポーザーLudvig Forssellは素晴らしい作曲家で、僕を仲間として迎え入れてくれた。彼らは、スコア制作を手伝えるクリエイティブなサウンドデザイナーを探していた。そして僕は憧れのゲームシリーズでForssell、Justin Burnett、Harry Gregson-Williamsと仕事ができるようになったんだ! 実際の作業は他のプロジェクトと変わらなかった。大変な仕事だったけど、やりがいもあった。忘れてはいけないことは、夢を諦めないこと。この業界は、忍耐力や持久力が全てなんだ。

現在はリードコンポーザーとしてプロジェクトを仕切っているけど、そこに至るまでは大変な道のりだったよ。ポートフォリオを築いて、実際の仕事をどう行うか学ばなければならなかった。僕は音楽の面からサウンドデザインにアプローチするのが得意で、いつもチームに貢献することができた。「ターミネーター: 新起動/ジェニシス」では「ハイブリッドプロダクション」として働き、「マスエフェクト 3」ではシンセのプログラミングを担当、「コールオブデューティ ブラックオプスIII」ではサポートコンポーザーとして働いた。監督だけでなく、他のコンポーザーにとっても貴重な存在になるように心がけた。 手助けすると同時に彼らから学んだ。大きなシリーズの仕事では彼らがどうやって仕事を行っていてどんな要求があるのか、音楽学校で学んだこと以上のものを学ぶことができたと思うよ。たとえ裏方だとしても学ぶことは山ほどあるから、チームのメンバーになることはマイナスではないんだ。チームで仕事をしていたときに学んだことは今でも全て、自分のプロジェクトでディレクターや開発者とやりとりする時に役に立ってる。


どうやってネットワークを作り、仕事仲間を見つけるのですか?

「ネットワーキング」という言葉は、あまり好きじゃない。まるで、何かを得られる可能性のある人としか付き合わないという意味に聞こえてしまうからね。クリエイティブの分野では、自分のやってることを愛する必要がある。この情熱が共通点として業界の多くの人によって共有され、友情の基盤になっている。ただ名刺を配るだけでなく、自分が情熱を持っていることについて純粋に会話してみるといい。共通の興味で結びつくことがどんなに簡単かわかるはずさ。

他にはどんな目標がありますか?

これからも学びながら成長し続けていきたい。まだまだ始まったばかりだと感じているんだ。プロジェクトを指揮できたことは、学ぶことが多く素晴らしい経験だった。それから一番最近の仕事では、ロンドンのAIR Studioで大型の管弦セクションを録音したんだけど、Jake Jacksonがデスクを担当してくれた。とてもいい勉強になったから、将来きっと役立つはずだ。

これからも長編映画や大型のゲームプロジェクトを続けていきたいと思っているし、 それに伴うチャレンジや経験をすることが楽しみなんだ。

意欲あるコンポーザーに向けて何か最後のアドバイスをお願いします。

たくさん学ぶといいよ。本格的な音楽教育が必要だとは必ずしも言わないけど、自分を魅了するものについてはどっぷりと浸かって学ぶのがいい。自分が大好きな音楽を分析して、それがどうやって作られ、どんな効果があるか、考えてみると良いだろう。仕事がなくても仕事をすること。いつもクリエイティブであり続け、自分のクリエイティブな筋肉をいつも最高の状態に鍛えておくこと。

クリエイティブな仕事を経験すればするほど、潜在的な引き出しが多くなる。作曲家としてのスタイルはその人自身の好みによって大きく左右され、作品はこれまでの人生の経験と感情的反応の混合物なんだ。オリジナルの考えなんて存在しなくて、どんなことも何か別のものに基づいている。だからこそ、それに向き合うだけの十分な経験が必要なんだ。

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