• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

    Interviews
by Vivian Host

Day WaveによるBATTERY 4とKOMPLETEを使ったドリームポップの制作方法

西海岸バイブスあふれるシングル「Potions」のステムをダウンロードして、リミックスコンテストに応募しよう。

カリフォルニア出身のJackson Phillipsは、Day Wave名義で、Beach Boys、Joy Division、My Bloody Valentineから受けた影響を、美しい脱構築的ドリームポップへと昇華させている。ボストンの名門バークリー音楽大学でジャズドラムを学んでいた時に、彼はFMシンセサイザーと電子音楽制作の世界に足を踏み入れた。Day Waveのサウンドの核は、ギターやドラム、シンセ、そして70年代のオープンリール式テープレコーダーといったアナログな機材だが、それでも、プロデュースが彼自身かPete YornやHazel Englishといった人々によるものかに関わらず、コンピューターで走らせるLogicやNIのVSTは、彼の録音、ミキシング、そして、マスタリングプロセスの極めて重要なものだ。

「Day Waveにぴったりのサウンドは、ビンテージのテープマシン、ギター、ドラムマシンのループ、それと、Juno 60だね」とJacksonは説明する。「多くの人々に、カリフォルニアっぽいサウンドだって言われるんだけど、スプリングリバーブとFenderのテレキャスギターの組み合わせが理由なんじゃないかって思ってる。そうするとBeach Boysっぽい音色になって、1人だけでつくってるのに、まるでフルバンドみたいな音がするんだ」

そんな西海岸サウンドのバイブスが詰め込まれた最新シングル 「Potions」を、今ならMetapopでリミックスすることができる。ステムをゲットして、Day Waveのサウンドを使って曲を作ったら、コンテストに応募しよう。最優秀賞者にはKOMPLETE 12 ULTIMATEなどの素晴らしい賞品が贈られる。

毎週配信されているVivian Host aka Star EyesによるNIのInstagramライブショー「Real Talk」の最新エピソードの中で、Jacksonはエレクトロニックな手段を使ったインディロックの曲の制作方法について素晴らしいヒントを教えてくれた。

Real Talkのエピソードの完全版はこちら

あなたがオープンリール式テープレコーダーを制作過程の中でどのように使っているのか、とても興味があります。使い始めたきっかけと、どのように使っているのか教えてくれませんか?

Day Waveを始めた時、僕はすでに何年間か音楽制作をやったり曲を録音してたんだけど、どうしても味気ないサウンドになってしまって、満足できなかった。プリアンプと良いインターフェースを持ってたし、Junoやアナログ機材もいくつか持ってたんだけど、どうやっても全部個性のないサウンドになって苦闘してたんだ。それで、カセットの機材を試し始めたんだけど、一瞬聞いただけで「このサウンド、すごくかっこいい」って感じになった。ただ、曲をリリースする時に、ローファイ過ぎるという理由で聞いてもらえないことは避けたかったから、上位機種をいじり始めた。それこそがまさしく、1970年代のオープンリール式テープレコーダーで、ローファイっぽさのバランスが良くて、録音に個性を与えてくれたんだ。大きいのも手に入れて、それはそれでかっこいいんだけど、小さなTEAC A-2300の中に全てのマジックがある。

オープンリールの使い方は、いくつかあるよ。よくやってる基本的な方法は、テープマシンを通して録音機材として使って、そこから直接DAWに送ること。例えば、曲を作り始めて、BATTERYを使ってドラムループを作ったら、その後、ドラムループを走らせながらテープマシンを通してコンピュータに戻す。 そして、そこから、例えばJunoのメロディとか、どんなものでもテープで録音して、ドラムループに揃えることができる。何かをテープに録音したら、それがWarmのプリアンプに行って、 そこからApogee Ensembleインターフェースを通って Logicにたどり着く。テープマシンを通して全部一度にやってるから、4トラックの状態では使ってないんだ。

 

BATTERYでドラムを制作しているとのことですが、BATTERYのサウンドを使っていますか?それとも、生ドラムの演奏をサンプリングしたり、あなた自身がドラムを演奏したりしていますか?

自分のドラムキットをサンプルしてそれを使うこともあるし、BATTERYのパックを使うこともある。その後、他のドラムをそこから組み立てていくんだけど、BATTERYのパックはループとして使いやすいから、始めるにはもってこいのやり方だね。BATTERYはドラムループをとても素早く作ることができて、その中だけで本当に色々なことができるから、あっという間に作業が進んで完成になる。そのことが、BATTERYが大好きな理由の1つなんだ。そして、思いついたドラムループをテープに録音したら、それで終了。最終的には、温かみのある歪みをたくさん含んだサウンドになる。

場合によっては、そこにキックをレイヤーさせたりEQなんかを加えたりして、それぞれのキックから特定の周波数を取り出したりもできる。クールな方法なんだけど、ドラムサウンドをどれぐらい大きくしたいかによっては、そんなに必要ない時もあって、小さくしたい時には、ちっぽけなドラムマシンのTR-606だけを使うこともある。たいていの場合、プログラムしたドラムはあまり多く重ねないで、その上にドラムマシンを使って、EQをかけるんだ。そんな感じで、ループと一緒にプログラムしたドラムも走らせてる。

 

ソングライティングのプロセスにおいて、ドラムの次は何ですか?

ギターだね。だいたいいつも、単音の旋律を基にしてギターで組み立てていくやり方が好きなんだ。New OrderとかJoy Divisionっぽいスタイルだよ。 そのやり方だと、コードで演奏するより、もっと興味深いハーモニーがやって来ることに気づいた。オープンチューニングなんかにしない限り、大抵、いつも同じコードばかり弾いていたり、ついつい同じハーモニーになってしまうからね。

だから、ドラムループの次は、ギターを使ってベースラインを少し加えて、そこから、もう少し高い音のギターで違ったメロディを付け足す。ギターは全部テープマシンでいい感じに温かみを加える。そしてその後、NIをいろいろ使ってプロセッシングするんだ。UAのクラシックな1176コンプレッサーみたいだから、KOMPLETEのSolid EQVc 76が大好きなんだ。あとは、Driver Distortion Filter!ディストーションが素晴らしいし、何か個性やゲインを加えたい時にぴったりの良い音色だから、プリアンプみたいに使っているよ。ほんの少しブーストをかけてくれて、自分の好きな感じにダイヤルを合わせることができるよね。

KOMPLETEの一部であるRc 48リバーブとGlueセッティングでのSolid Bus Compressorも使ってる。同じプラグインをたくさん使ってるけど、セッティングをコピー&ペーストしているわけじゃないよ。コンプレッサーが楽器に対してそれぞれ適切なゲインリダクション値になっているか、ちゃんと確認してる。信頼できる良質なEQとコンプレッサーを使うことが、大好きだね。­それだけで、本当に遠くまでたどり着くことができるんだ。

ボーカルの秘訣は、別々にバスを使うことだね。全部一緒に同じリバーブなんかを通すと、多くの場合、後から取り除きたくなるような周波数がたくさん出てくることになる。

それでは、ボーカルについて教えてください。特に、どんなエフェクトチェーンを使っているのかお聞きしたいです。

だいたいいつも、ただ自分のボーカルを重ねているだけで、 コーラスエフェクトはかけてない。普段のコーラスは、自分で同じものを歌ってるボーカルを、3つか4つのレイヤーにしてるだけだから、コーラスエフェクトは自然に生まれたものなんだ。1つのテイクを真ん中に配置して、残りの2つを両側に少しだけパンを振る。10ぐらいかな。真ん中の1つを、ダブルで両側からサンドイッチみたいに挟む感じだね。その後、ボリュームを少しだけ下げて、そうすることでコーラス効果をどれぐらい加えるか調整ができる。フェイズキャンセレーションが起きてひどい音になっちゃうから、同じヴォーカルをコピー&ペーストは絶対にしない方がいい。できる限りいい声で、3回歌うんだよ!何かをダブリングさせたい時はいつでも、何回も演奏する。もしVSTやソフトシンセでダブリングするなら、たぶん、エフェクトをかけたり、少しだけデチューンさせたくなると思う。

Elliott Smithみたいにパンを極端な形で両端に振ることはやったことがない。たぶんアコースティックな曲とかみたいに、もっと音数が少ないトラックを扱う時にはとても良いサウンドになるかもしれないけど、僕の場合、トラックのトップがちょっと重すぎるって感じになっちゃうんだ。ボーカルを両側に振る時、僕の意見だと、極端に振るとグルーヴが外れちゃう。だけど、高音のオクターブを入れる時は、より遠くに広がるから、高音部分のパンを両側それぞれ30に振る。高音部分のオクターブとバックグラウンドのウーとかアーがある時は、高音部分を外側に振ることができて、メインの部分は中央近くにキープしておくんだ。

特にボーカル部分について、バスはどのように使っていますか?

例えば、3つのバースボーカルのoutputをBus 2に送ったんだけど、そこでは、EQとスプリングリバーブを少しだけかけて、OeksoundのSootheで手を加えた。グループにまとめる方法はやるんだけど、いつもsendは使わないでoutputを使うのが好きなんだ。そのやり方だと、リバーブを使っている時に、sendの調整をするんじゃなくて、ミックスのノブを使うことができる。バースボーカルをみんな一緒にまとめて、他のバスに送っているコーラスとは違う形でプロセッシングした。そして、高音のファルセットがあったら、そこもグループにして、あまり甲高い感じにならないように、たぶんリバーブをさらに少しだけかける。ギターも内容によってまとめるんだけど、たくさんのものをバスにまとめてるね。例えば、ヴァースギターは全部、コーラスギターやベースとは違うトラックになってる。全部別々にしてあるから、例えば、コーラスだけをブーストさせる必要がある時、とても簡単なんだ。

ボーカルの秘訣は、別々にバスを使うことだね。全部一緒に同じリバーブなんかを通すと、多くの場合、後から取り除きたくなるような周波数がたくさん出てくることになる。もし、バスを使ってハーモニーと高音のオクターブとメインボーカルに同じリバーブをかけているなら、そういった周波数を、メインボーカルには残しながら高音部分からだけ取り除くことができる。EQの減算処理ができるから、別々のバスにまとめておく方法が好きなんだ。

 

NIのプラグインの中で、お気に入りのものや、最終的にいつも使ってしまうものはありますか?

明らかに、すべてのEQとコンプレッサー類は全部大好きだね。ポップミュージックやR&Bなど、他の人のためにも音楽制作をたくさんやってるから、作ってる音楽に合わせて色々と違ったNIの製品を使ってる。Day Waveの曲の時は、アナログ機材を使うことがほとんどだから、主としてEQとコンプレッサーとプロセスのためのプラグインを使ってる。だけどほんとにMassive Xは素晴らしいよね。 BATTERYREAKTORKONTAKTもいつも使ってる。特に、YouTubeから何か音を取り込むとか、変なサウンドを探すためにちょっとトライするとか、サンプリングだけをする時に使うね。

何でも取り込める所が、大好きなんだ。 それに、素晴らしいパラメーターがたくさんついてるよね。すごいサンプルライブラリがたくさんあって僕も使ってるけど、でも、自分のサンプルを放り込んでめちゃくちゃにするのがすごく簡単なんだ。曲のスピードをあげたり、ゆっくりにしたりするのも、とても楽しい。1つのサンプルでできることが本当にたくさんあって、特に波形エディターを使うと、波形をいじったりピッチを変えたり、色々できるよね。

NIに関わっている人の多くはエレクトロニックやポップ・ミュージックの人だと思うけど、でもNIの製品を使って素晴らしいロックアルバムやインディロックを作ることができるんだよ。近頃はほとんどの部分をなんでも箱の中で行うことができて、ミキシングやマスタリングでさえも箱の中で完了することができる。だからどんなジャンルをやっていたって、それは本当にいいものなんだ。

Real Talkシリーズの他のエピソード映像はこちら

Metapopで開催中の「Potions」リミックスコンテストに応募しよう。締切は9月6日まで。

 

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