• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

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Edward Ma

The Glitch Mobのプロデューサーが、MASSIVE X向けの進化するスタッカートのリードサウンドを無償で提供する。

アメリカ人プロデューサー兼DJのedITことEdward Maは、90年代後半からLAシーンの中心で活躍、2004年にデビューアルバムである「Crying Over Pros For No Reason」をリリースした後、Josh MayerやJustin Borettaとともにエレクトロニカ系トリオThe Glitch Mobを結成した。The Glitch Mobは5枚のアルバムと数多くのシングルやリミックスを発表後、直感的でパンチの効いたプロダクションとBlade 2.0 タッチスクリーン・パフォーマンス・システムを使った目が眩むぐらい革新的なライブショーを展開し、世界中でその名が知られるようになった。

今回EdwardがPatch and Playのために提供してくれたグリッチビートの雄大なMASSIVE X用プリセットは、周波数スペクトラムの全領域をカバーし、すばやく調整可能な8つのマクロを装備、そして、我々がこれまで見た中で一番巧妙なパフォーマーのセットアップを備えている。パッチは下のリンク先から無償でダウンロード可能、パッチを試してサウンドを聴いた後は、今回の制作背景やEdwardのMASSIVE Xの第一印象などについての記事を読もう。

パッチのダウンロードはこちら

初代MASSIVEがリリースされた時はどのように感じましたか?

MASSIVEがリリースされた時、間違えなく完全に時代を変えた製品だと感じた。それはテクノにおける909のように、ダンスミュージックのジャンルを定義づけて、ソフトシンセの新しい時代を先導するものだったんだ。当時ウェーブテーブルシンセの知名度は低かったけど、MASSIVEがそれを覆して、80年代におけるFMシンセと同様の時代的意義へと変化させた。今ではソフトとハード両方の主要なシンセ会社はほとんど全部ウェーブテーブルシンセを取り入れていて、だから逆に僕は最近ウェーブテーブルシンセにあまり手が伸びなくなっちゃったんだ。これはMASSIVEがカルチャーに与えた影響だね。

それに加えて、MASSIVEは、これまで聴いたことのないようなサウンドを創ることができる、とてもシンプルで直感的に使えるUIを備えた初めてのソフトシンセだった。パフォーマーだけでも時代を変えるインパクトがあって、他のソフトシンセ会社が、ユニークな波形を描くことができる同様のモジュレーターを作るぐらいの影響力があったんだ。

 

MASSIVE Xがリリースされた時、どんなことを期待していましたか?

SERUMは、ビジュアルからのフィードバックや数多くのFXといったMASSIVEの精神を明らかに引き継いでいて、最新のダンスミュージックにぴったりのサウンドとしてウェーブテーブルシンセを進化させた。だからMASSIVE Xのリリース前には、SERUMをさらに推し進めたような、1つのウェーブテーブルシンセで全てが作れて、EDMのプロデューサーが重低音を震わせるヒット作に使えるような次世代のシンセを想像してた。でも実際の所、MASSIVE Xが進んだ道は全く違う方向で、新しくて興味深いコンセプトやアイディアをたくさん提供してくれる狂ってるぐらい深いシンセが誕生したんだ。ベータ版を試した時の第一印象は、臆病者や心が弱い人向きではないなってことで、一般的なプロデューサーは辛抱強く使いこなせないと思った。でも、新しくてユニークなシンセシスの技術に本当に興味があるなら、忍耐が報いられる結果が生まれる。信じられないぐらい深くて、とてもユニークで斬新なサウンドを創るために必要なツールが全部装備されてるんだよ。

 

今回のために制作したMASSIVE Xパッチのインスピレーションの源について教えてください。

今回のパッチのことを「Sine Of The Times」って呼んでいて、COVID-19の影響で今直面している経済危機、社会的な権利に関する改革、時代の不確実性や新しいリアリティについて、僕たちみんなが感じていることを反映しているという意味なんだ。このパッチは、居心地が悪くて、困惑したり混乱させられて、落ち着かない感覚になる。独特なLFOカーブを描くペイントブラシツールと、パフォーマーのカーブを普通じゃないやり方で曲げたりワープさせるモジュレーションエディターがあって、パッチのスピードが変化して落ち着かない感じを生み出してるんだ。MASSIVE Xの一番シンプルなオシレーターである「SQ-Sine-Saw」を使って、何かとても複雑で結果が予想できないようなものを創ろうというコンセプトが核になってるんだよ。

 

プリセットはあなたの作る音楽にどんな影響を与えていますか?

プリセットは素晴らしいと思ってる。「自分で作ったサウンドだけを使って、プリセットは使わない」と言うようなシンセ純粋主義者は好きじゃないし、僕は全然違うタイプだね。プリセットは、そのシンセで何が可能なのかを理解するために素晴らしいし、サウンドがどうやって作られているかを理解するためにリバースエンジニアリングして学ぶツールとしても役に立つ。どんな音を作りたいのかについて、はっきりとした具体的なアイディアがあるなら、まっさらな状態から作る方が常に早いけど、想像力を喚起してくれる素晴らしいプリセットを探し出すことが大好きなんだ。

 

The Glitch Mobは普段どのように楽曲制作をしていますか? 全員同じ部屋でセッションしていますか?それとも、COVID-19の影響で、リモートでの作業ですか?

僕たちは、全然違う方法で新しいことを始めようとしている初対面のチームという訳ではないよね。だから、全員同じ部屋にいることもあるし、誰かが1人でデモを作り始めてそれが後々Glitch Mobの曲になることもある。これが正解とか間違っているとか、決まった方法はないんだ。COVID-19の影響で、スタジオを処分して機材を分けて、それぞれの家から作業するようになった。年月をかけて作ってきたセッション音源、サンプル、パッチやプリセットのコレクションが大量にあるんだけど、全部Dropboxでシェアしてる。

 

ソロプロジェクトについても聞かせてくれますか?

ロックダウンが始まった時、NetflixとHBOを解約して、スタジオ深くに潜り込んで、3枚目のソロLP「Come To Grips」を仕上げた。曲の多くは、ツアーの道中やホテル、ツアーバス、楽屋なんかで書かれた。パーソナルなスナップ写真のコレクションみたいなもので、ここ数年の間のクリエイティブだった地点を振り返っているんだ。アルバムのサウンドは今の世界の状況を反映してるね。そして、僕たちみんなが何が起きているかを把握して、それぞれの場所からポジティブな変化を生み出すことができるように、願っているよ。

 

Interview: Carmen Rizzo

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