• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

    Interviews
by Shiftee

DJ ShifteeによるStay Home期間中の音楽生活ガイド

外出しない彼がオススメする、自宅で音楽活動の生産性を上げる方法。

自主隔離?ソーシャル・ディスタンス?大人になってからというもの、僕は普段からそういう人生を歩んできた。日差し?聞いた事ないな。新鮮な外気?一度試した事があるけど僕には合わない。空?過大評価されているし、クールでもないし、大げさだし、たまに大きな水滴が落ちてくるし。元々完全に隔離されてリモートワークするのが理想的な環境だと感じていた僕から、スピーカーと白い音響パネルだけに囲われた生活の中で、どう正気を保ちつつ生産性を持って過ごすかを伝授したいと思う。

ズボンを履こう

リモートワーク中、一日中パジャマで過ごす事は本当に簡単なこと。僕も2013年から2015年にかけてズボンを履いた記憶がない。ただシャワーを浴びたり、歯を磨いたり、髪を整えたり、前日着ていた服から着替えたりする事は全て、一日の始まりを告げ、また仕事をしようという合図になる。好印象を与えられるような服を着よう!僕はヒット曲を作るためだけのホームスタジオ用の靴を持っていたりする。ホームスタジオ用にこんな感じがオススメだ:

気が散るものは排除しよう

スタジオ内で携帯電話は使用厳禁!僕は常に携帯電話を少なくともスタジオから2部屋は遠ざけている。「レネー・ゼルウィガーは女優になる前は何をしていたんだろう?」だとか、「プンパーニッケル(パンの種類)は何処からきたんだろう?」などといった考えを持たせるような全ての物を排除しよう。インターネットやWhatsApp、iMessage、SNSなどは全て遠ざけよう。Instagramもダメ、twitterもダメ、出会い系アプリもダメ、Tik Tokもダメだ。外の世界は休憩時間の時のためだけにとっておく事。それが次に伝えたいポイントへと繋がる。

 

ルーティーンを持て

一人きりで仕事する事の大きな喜びの一つは、時間の使い方に関して誰にも指図されない事だ。君自身がボスなんだ。一方でその自由は生産性を脅かす大きな落とし穴でもある。なぜ、朝の4時になるまでスネアドラムを微調整するの?そのスネアに関して誰もダメとは言ってないよ?12時にドラムループを一つだけ作って12時15分にその日の仕事を切り上げたい?全て個人の自由だ!

僕は1週間の間で、決まった曜日の決まった時間に仕事をすることが、最も生産性が高まるという事に気付いた。僕の場合は火曜日から土曜日の朝10時から夕方6時まで仕事モードでスタジオに入る(僕は色んなモードを持ち合わせているんだ)。1日中働いているより、時間に対するクリアなヴィジョンを持つ事でより良い結果を出すことができるし、深夜2時に直面する不可能と思える難関だって一晩寝て気分をリフレッシュする事で解決できる事が多くある。沢山の作業が必ずしもより良い結果に繋がる訳じゃない(何かことわざみたいな物があったかな?)。

僕は常に同じ場所で仕事をしている。作業できる決まったスタジオが無かったとしても、自宅のある場所をワークスペースとして使用するのはとてもいい事だ。例えそれがベッドルームの一角でも、仕事をするためだけのスペースとして使えるのであればそれでいい。EQ処理をする時にだけ、ソファーにお気に入りのブランケットをかけるだけでも良いかもしれない。

僕は1時間おきに5分から10分、耳を休ませたりもする。オーディオ作業中は特に、耳から入る情報量のせいで迷ったりしがちだ。休憩を挟むことで、耳から入る情報に順応していくとともに、音の聴こえ方も変わってくる。脳や耳をリフレッシュして再起動させてくれるんだ。

 

プランを作れ

でも、これ程ある時間をどう埋めようかって?僕が毎日、毎週作っている『やる事リスト』をシェアしよう。僕のホワイトボードは親友だ(親友同士だけの特別なハンドシェイクまであるくらい)。日々の『やる事リスト』には、一つのタスクにどれくらいの時間を費やしたいかを加えるようにしてる。少ない時は15分から、多くて4、5時間まで、タイマーを使って測るようにしてる。

長期的なゴールを持つ事も得策だ。月単位だったり年単位で。5月には20ビート作りたいかもしれない。またはピアノで3曲弾けるようになりたいのかもしれない。もしかしたら映画『スーパーサイズ・ミー』のような実験を試みて、1ヶ月間缶詰のビーンズだけを食べてみて身体にどのような変化があるかみてみたいかもしれない(注意:絶対いい匂いはしないよね)。重要なのは、ゴールをメモして過程を記録する事だ。

タスクを種類毎に分けることは、生産性にとってとても良い事だ。僕はフローを重視したクリエイティブなプロジェクトで1日を始める事が多い(例えば、ミキシング、新曲の制作、トラックを完成させる作業など)。1日の終わりに近づくにつれ、楽器を練習したりテクニックを身につけたりといった、反復的な作業に切り替えていく。その後はメールやソーシャルメディア、電話対応といったビジネスライクな事務作業に切り替えていく。最終的に学びに繋がる読書と動画観覧や、ファイルの整理、セッションの準備など、スタジオで働くために必要だけど退屈な作業で締める。

壮大なプランを作って規律正しく生きようとする事も可能だけど、僕だって誰にでも起こりうるように、たまにスランプに陥る事もある。以下が僕が気分が乗らない時にしてみる事だ:

  • チュートリアル動画を観る
  • 慣れないコンセプトに関する記事を読む
  • 他人の曲やパフォーマンスを真似てみる(くだらないと感じるかもしれないけど、学びになる事もある)
  • 様々なプラグインを比較してみる(例:20種類の異なるリードボーカル用コンプレッサー)
  • シンセのプリセットをエディットしてDAW用にセーブする
  • 様々なエフェクトを試して、お気に入りをセーブしてみる(例:普段試さないリヴァーブを試して、お気に入りをセーブする)
  • セッションのテンプレートを作ってみる(ミックス用、ボーカルレコーディング用等)
  • 新しい音楽を聴いてみる(DJならばこれは必須だけど、プロデューサーやエンジニアならリフレッシュに繋がるしインスピレーションを受けるかもしれない)

 

自分の健康に気を配れ(メンタルヘルスも同様)

僕はもちろん医者じゃないけど、身体とマインドが健康な時の方が良く働けるという事は理解している。それは運動だったり、健康的な食事習慣だったり、休憩をとったり、しょうもないと嫌う太陽光を浴びる事だったりだ。スタジオにいる時間を削ってでも健康を第一にする事によって、より効率的に良い結果を生みだせるという事に気付くのに、僕は長い時間がかかった(気持ちの上で幸福や健康を感じる事もそうだ)。

これは僕特有の事だけど、丸1日ミキシングをした後に僕を正常な状態に戻してくれる物はテレビゲーム以外にない。11歳の時、スーパーマリオ64でスターを120枚全て集めた時にゲームを辞めたつもりだった。でも甥のアルヴィンとXboxをやり始めてから、またゲームにハマり、今では疲労困憊した時はいつもFIFA 20 Ultimate Teamをプレイするんだ。

 

プロセスを信じろ

上の写真に写るジョエル・エンビードへ賞賛を(バスケファンではない人へ、彼は「ザ・プロセス」として知られている)。ー人で作業している時、落胆する事はとても簡単だ。一人で働いていると日々周りから認められたり賞賛される事は希だし、自分のやっている事が最悪だと思える日もある。しかし、無駄な時間はないと知る事はとても重要だ。失敗だらけの一日でも進歩と改善の一日になる。費やす時間がゴールそのものになる。これは、闇雲にリスクを負う事のように感じるかもしれないが、時間を費やす事は必ず成長や結果に繋がる。だから小さな事と感じる事でも存分に味わって、少しだけでも日々学習、成長する事を試みて、そしてあなた自身の正気を保つためにズボンを履いてみてほしい。

 

Shifteeはブルックリン在住のミキシングエンジニア、プロデューサー、そしてワールドチャンピオンDJである。

 

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