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RP Boo

シカゴの伝説的人物が自由な発想で独特なKONTAKTの組み合わせを生み出す。

シカゴのフットワークとハードウェアの関係は永遠に切っても切れないだろう。MPCサンプラーにより作られる刻まれたビート、ぼんやりとしたサンプル、揺れるサブベースが猛々しいダンスバトルの場で命を吹き込まれる。そしてフットワークのパイオニアであり、ジャンルの第一線で20年以上 – 1999年のThe Godzilla Trackの設計から、近年UKレーベルのPlanet Muからリリースしてきたアルバムの冷たい未来主義に至るまで、活躍してきたRP Booの場合も例外ではない。

MPCのヘビーユーザーとして有名な彼だが、最近はデジタルソフトの可能性に興味を持ち始め、一からソフトウェアと戻り向き合い始めた。「アナログマシンに慣れすぎていたから、ソフトウェアやプラグインで意図する表現ができるとは思わなかったんだ」と彼は語る。しかし他の人達がソフトで表現した音を聞き、「自分が進むべき道はこっちだ、自分の想像するものはそこにある」と決心した。

使用されたNI製品: KOMPLETE KONTROL, ANALOG DREAMS, KONTAKT 6, STUDIO DRUMMER, SUPERCHARGER GT, STRADIVARI VIOLIN, ARKHIS.

RP Booのスケッチのステムはここからダウンロードして、自由にリミックス、再利用してみよう。

 

RP Booにとって今回のスケッチ作りはNIソフトウェアとMaschineを含むハードウェアを組み合わせた新しいセットアップを使いこなすための機会だった。「いい感じのダークなシンセから手をつけたんだ、自分がシカゴフットワークの戦いに挑んでいく気分になるように、レスラーがリングに上がる時のテーマのように。」Analog Dreamsの中からは不気味なSci-fiプリセットである1984を選び、Raum/Airy EQをかけている。リズムにはKontakt Studio Drummerを使用していて、彼いわく、プラグインを探している時に「僕とビートを作って、すごいものを作ろう」と訴えかけてきたのだという。

次に「オーケストラの中で演奏する」という彼の夢をStradivari ViolinをKontakt経由で足すことで実現させた。ダークシンセに対するメロディとして入れたそのバイオリンは、KontaktのSolid EQでさらに調整をしている。最後の「決め音」にはKontaktのArkhis (現代的なサウンドトラックに適したオーケストラサウンドが豊富なプラグイン) からDrunken Bandのプリセットを使用し、スケッチの終わりは予測不能な鋼のさざなみで締めくくられる「心は大きな子供のままなんだ」と彼は認める。

未来を見せてくれる道具はまだ持っていないと思い込んでいたけど、実際はもう手にしていたんだね。

ほぼ全てのソフトについて初心者である彼は、我々の多くがそうしてきたように、YouTubeを見て学んでいた。彼はまだソフト世界の表面をなぞった程度だ。「Komplete 11を使ってたんだけど、スケッチが完了するまで数少ないプログラムしか開いてなかったんだ。全て把握できていたら、もっとクレイジーなことをしていただろうね」と彼は笑う。「今はとにかくもっと知りたい。未来を見せてくれる道具はまだ持っていないと思い込んでいたけど、実際はもう手にしていたんだね。」

スケッチ作りは彼の作曲家としての性分にあっていたようだ。予測不可能なことが好きな彼は、昔のプロジェクトに戻るよりも新しいプロジェクトを始めることの方が好きなのだ。「新しいジャンルが作れるかもしれないんだ、誰もそんなの分からないだろう?過去のものに戻るよりも、今頭にあることをしようよ。」Planet MuのMike Paradinasが始めて‘B’ware’を耳にした時、RP Booの中ではまだ未完であったにもかかわらず、レーベルのボスに出した方が良いと説得されて、とりあえず出してみたと彼は記憶している。RP Boo自身も驚いたが、世間の反応はとても良かった。「自分の中で未完でも、他の人にとっては最高なこともあるんだね。」

RP Booは25年以上の経験、未発表のアルバム (Covidの終息を待っている)、新しい機材やソフトで可能性に満ちたスタジオを通じて、変化を恐れる人たちへ一つの例を見せている。長年のプロからのヒントを得ましょう。「毎日が新しい学びの日」なのです。

 

Words: Chal Ravens

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