• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

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Sully

メタリックなサウンドデザインと靄のようなパッド、そして、DECODED FORMSでチョップしたブレイクを携えてUKプロデューサーが戻ってきた。

イギリスの小都市ノリッジを拠点とするSullyは、今日のジャングルシーンの中で最もおそるべき才能をもったアーティストとして知られるようになった。初期の頃、霞のようなダークガレージ、ダブステップ、グライムを作っていたJack Stevensは、ここ10年位のUKダンスシーンにおけるジャングルへの回帰傾向とともに、ブレイクビーツに焦点を絞り始めた。イギリスのアンダーグラウンドレーベルであるKeysoundからのリリース「Astrophonica and Black Acre」は、 古典的なジャングルの衝動的なエネルギーと彷徨うような現代的なサウンドデザインの要素を混ぜ合わせたもので、イギリスのベースミュージックの定義を押し広げ続けている。

SullyのSketchは、個々のドラムヒットにそれぞれピッチを割り当て、クラクラするようなリズムの交響曲として複数の楽器を混ぜ合わせるという手法を使い、ドラムパターンをメロディラインのように構築するという技を披露している。鳴り響くオイルドラムのメタリックな打音で幕を開け、煌めくジャングルと肌に打ち付けるパーカッションサウンドの一群が、やがて、深く不気味で分裂的なドラムンベースへと織り込まれていく。

SullyのSketchを聴いて、制作背景についてのインタビューを読もう。全てのステムとRenoiseのプロジェクトファイルは下記のリンクから手に入れることができる。

ステムのダウンロードはこちらから

使われているNI製品: DECODED FORMS, REAKTOR 6, KONTAKT 6, WEST AFRICA, FM8, RAZOR.

 

ドラムのサウンドは何を使ってますか?どのようにして曲を作ったのか教えてください。

始めに探したのはブレイクビーツだね。良いブレイクビーツをみつけることは難しいから、先に決めてしまった方が後の作業が楽なんだ。ラッキーなことに、DECODED FORMSのパックに素晴らしいサウンドがいくつかあった。僕の耳にはKool and The Gangの「N.T.」の力強さを再現したように聞こえたAnt 1という名前のサウンドを選んで、1つ1つの打音として切り刻み、シーケンスを作って、次に、同じパックからProto 2という名前のキックを呼び出し、尾の部分で波の周期をループさせてドンドン打ちつけるようないい感じのベースを作ったんだ。ブーンって感じのやつだよ。

次に、僕が昔から気に入っているREAKTORのSteampipe 2を使ったんだけど、本当に重宝してるんだ。プリセットサウンドの気に入らない部分を調整するために色々いじりながら、Oil Drumプリセットでジャムをした。ディケイをきつくすると、ドラムブレイクのスネアのような音になって、音色がビシッと決まるんだ。

リズムセクションを生き生きとさせるために、KONTAKTのWEST AFRICAライブラリのジャンベのパターンもメインに使ってるよ。ぷかぷか浮き沈みしているような雰囲気の部分があるんだけど、そこにはFM8の08-15という名前のパッドとKONTAKT RHODESを使っていて、両方ともREAKTORのSPACE MASTERリバーブを通したから雄大なサウンドになったんだ。

途中で、FM8のオペレーターで作った新しいベースと、RAZORのMetalizeで作った狂ったジャングルっぽい要素も加えたね。その後、Oil Drumのパターンを変更して、ジャンベを少し揺らして、Sketch全体を整えた。仕上げに、ブレイクをKONTAKTで読み込んで、タイムストレッチを使ってテンポをロックさせ、響いていてピッチ感のあるパーカッションサウンドにしたんだ。作業するまでは、それをトラック全体に使おうと思ってたんだけど、実際に使ったのはイントロ部分だよ。

 

あなたにとってSketchすることの意味は?

Sketchは楽しいよね。おもちゃを全部取り出してみたりいくつか選んで、その可能性を試すような感じなんだ。楽しみを見つけ出すことができたら、いつもそこには何かやってみる価値がある。

 

今回のSketchで達成したかったことは何ですか?

いつも通り、手持ちのツールで雰囲気を生み出すことだね。

 

今回のSketchの中で、どんな要素がお気に入りですか?

たぶん、Oil DrumプリセットのSteampipeパッチだと思うよ。ドラムのブレイクとぴったりあうんだ。60年代の録音みたいに、シンセで作られた要素がドラムループと馴染まないことがよくあるんだけど、上手くいく組み合わせを偶然見つけた時は、本当に嬉しいね。どのように演奏するかによって、フルートからウッドブロックの打楽器へとモーフィングするんだけど、とても素晴らしいサウンドなんだ。本当にこのシンセが大好きだね。

 

Sketchをどうやって完成させますか?

大いなる忍耐力が重要だね。作曲の中で一番難しい部分だと思っていて、いつも、何かが残るまでずっと壁に物を投げ続けているような感じなんだ。10代の頃からバンドで演奏してたから、その観点から例えて言うと、君は君の楽器を持っていて、そして、セクションが必要だよね。僕は段々と変化していくようなオートメーションが得意じゃなくて、音を1つ1つ置いてアイディアを構築していくタイプなんだ。だから、アイディアが固まってアレンジを始めることができるまで、音をたくさん置き続ける。ようやくアイディアが固まったら、構成に取り組み始めて、その時に始めて、全体の構造が形になってくるんだ。

 

これまでで最も良かった制作アドバイスはどんなものですか?

直接比較をするな。これは簡単に陥りやすい穴で、例えばEQやボリュームといったようなテクニカルなことを参考にするときには手助けになるかもしれないけど、それ以外の大部分のケースでは、即座に自信喪失の感覚を麻痺させてしまうんだ。

 

オンライン上で制作について学ぶ上でのお気に入りのリソースと、その理由を教えてください。

インターネット上で、サウンドに取り憑かれた人々が、その源泉を辿ってリバースエンジニアリングしているような場所が好きだね。よく知られてるサイトだとWhosampled.comがあるけど、驚くぐらい深い知識を得ることができる。サンプルの系統を辿っていくことは、カルチャーのDNAをマッピングするみたいで、とても面白い。もっと深く知りたい時は、rolldabeats.comのブレイクビーツのサブフォーラムに行くと、初期の頃のドラムやベースのブレイクの詳細について狂ってるぐらいのレベルで探すことができる。たとえば、あるプロデューサーから他のプロデューサーにサンプルディスクが渡されたセッションの間に何杯のお茶が淹れられたかというような情報まで暴露されてるんだ。

 

Sullyの最新リリースは、Killa PをフューチャーしたLast Japanの 「Exhale」リミックスはここから曲を聴くことができる。

Words: Chal Ravens

Photo: Lerz Moore

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