この記事を書いている時点では、コロナウイルスの感染拡大防止策の一環として、世界中で隔離などの過去に前例のないような活動制限に置かれている状況かと思います。
そこでミュージシャン、DJ、プロデューサーの方々が、健康的にありながらインドアでも実行できる、電子音楽コミュニティーを支えられる事柄をまとめてみました。NIスタッフも皆さんと同じく、家から勤務している人が多い中で、音楽的にクリエイティブな状態を保つ方法を共有したいと思います。
以下が私達のオススメです。
自分の為になることをする
手洗いをする、愛する人に連絡をする、行動をルーティーン化するなど、自分自身の健康を保つアドバイスは世の中に沢山あふれていると思いますが、基本的な健康維持をするほかにも時間を割けるようになっている方も多いと思います。
過去に限られた時間の中で音楽制作を行なってきた方は、逆にチャンスが巡ってきたのかもしれません。未完成だったあのサビや、トラック、アルバムを完成させる等、色々と試したかったアイディアや実験を実践するにはちょうど良い時期なのかもしれません。
共同作業をすることでインスピレーションを得られる人は、オンラインのLockdown Type Beat project on Instagramのようなプロジェクトに参加するのも良いかもしれません。ベルリンのOriginal Street Technoクルーも同様に、お互い励まし合いながら1日1曲のペースでオリジナル曲を、共有のSoundcloudアカウントに発表する活動をしています。
または、音楽制作をする人達に友好的なコミュニティー、エキスパートの意見交換の場であり、10以上のリミックスコンテストを開催している、Metapopに参加してみましょう。
作曲中、アイディアに詰まってしまった時は、I’m Fuxking Stuckにトラックのアイディアを共有して、コミュニティーの助けを借りて楽曲を完成させましょう。もしくは、the world’s biggest beatという世界各地のプロデューサーで楽曲制作のリレーをする企画やTOKiMONSTAの新しいシングルのリミックスコンテストに参加してみませんか?
音楽制作する気分でなければ、将来の音楽制作に向けた準備をするのはいかがでしょうか?サンプルフォルダーの整理をしたり、スタジオの大掃除をしたり、好きなDAWのテンプレートを作成してみるなど – Music Techが紹介しているAbleton、Cubase、Pro Tools用のテンプレート作成ガイドを読んでみましょう。後々この作業のありがたみがわかるはずです!
より野心的な自己投資をしたいのなら、新しいスキル習得に挑戦しましょう。オリジナルのREAKTORアンサンブルを作る方法や独自のKONTAKTライブラリーを作る方法などのようなガイドが無償で閲覧可能です。今までどちらも試したことがなければ、気の遠くなるようなプロセスに見えるかもしれませんが、すぐに理解できるようになります。その見返りとなる知識もかけた時間に相応しいものになります。アンサンブルやライブラリーができたらタグ付けをしてぜひ共有してくださいね!
最後に、期間限定で無償で手に入るソフトウェアを手に入れて活用しましょう。NIからはビンテージとモダンが合わさったシンセステーションANALOG DREAMSが2020年3月31日まで無償、
Korg社からはiOSとAndroidに対応したiKassilator(iOS)とKaossilator(Android)が無償に、また、Moog社からもMinimoog Model DをiOS上でエミュレートしたModel Dも無償化しています。またNIには他にも音源やエフェクトなどを収録した音楽制作パッケージのKOMPLETE STARTやDJソフトウェアのTRAKTOR DJ 2も無償で手に入れることができます。
クイックリンク:
- ANALOG DREAMSをダウンロードする
- オンラインで共同作業する(英語)
- Metapopの楽曲コンテストに参加する(英語)
- Resident Advisorsオススメする在宅ミュージシャンのためのTips(英語)
- Twitchが提案する、初めてのライブ配信をしたいミュージシャンに向けたセットアップガイド(英語)
- i-Dが提案する隔離時の家での過ごし方(英語)
- High Snobietyが送る、家で出来ることのアイディア集(英語)
電子音楽コミュニティーの為に何かをする
クラブ、バーやコンサートホールなどに関わる、経済的に大きな負担受けている人達を支援する為に、世界中のオンライン上で実施されている支援活動が多く存在しています。その中で、私達は皆さんの制作した楽曲を宣伝をするプラットフォームとして提供し、このスレッド内でツイートして頂ければ、弊社Twitterアカウントでリツイートして拡散するお手伝いをさせていただきます。
その他にも、インディーレーベルのアーティストの音楽を購入して支援することができます。Buy Music ClubはBandcamp上のオススメのインディー音楽をセレクトして表示してくれます。またROLI社のエンジニア、Tom DuncalfはSpotifyのコレクションにあるアーティストのBandcampリンクを見つけてくれるアプリを提供しています。
多くのクラブは一時的な閉鎖を余儀なくされているかと思いますが、パーティーはオンラインでも開催されています。ベルリンから発信されているUnited We Streamは、Pan Pot、Rebekah、Ellen Allienのような地元ベルリンのエレクトロニックアーティスト達が、クラブ再開までの間、毎晩ライブ配信を行なっています。自分の部屋ではピークタイムのクラブの雰囲気とは違うかもしれませんが、部分的であれどクラブミュージックを楽しめ、今後、盛り上がりを取り戻す為に自分自身で出来る形でクラブを支援しましょう。
もし自分のいる環境の中で可能で、何かコミュニティーの為に支援をしたいということであれば、いくつかの活動に対しての資金援助も検討してみてください。Attack Magazineは音楽業界の救済の為に、募金活動サイトを立ち上げており、5ポンド以上の募金に対してKOMPLETE 12 ULTIMATEなどが抽選で当たる権利を獲得することができます。また、Artist Relief Treeでは、最近のイベントキャンセルによって経済的な負担を負っているアーティスト達に向けた募金活動とその募金の分配を行なっています。 現時点で既に募金合計が18万ユーロを超えており、たくさんの支援応募が処理され、影響を受けたアーティスト達は様々な支援を受けることができます。Resident Advisorは募金先の詳細や支援を求める署名サイトをまとめてくれています。
クイックリンク:
- 好きなアーティストの楽曲をBandcampで購入して応援しよう(英語)
- Save our Sceneプロジェクトや電子音楽コミュニティーに向けたResident AdvisorのCOVID-19に関するリソース集(英語)
- Artist Relief Treeに募金する(英語)
- Attack Magazineの募金&抽選会に参加する
- United We Streamで仮想のベルリンのナイトクラブを体験 (英語)
- あなたの音楽をツイートしてNIがリツイート!
社会の為に何かをする
このような厳しい状況の中でも、音楽が人々を生産的にしてくれたり、ポジティブにさせてくれるとはいえ、もっとも大事なことは健康的でいるということです。WHOや自治体のアドバイスに耳を傾けながら、それ以上にお年寄りや困っている友人、親戚、近隣の人たちにも親切に、優しく、冷静な態度を取れるよう心がけましょう。まわりの人が助けを求めていないか、今まで以上に注意を払ってみましょう。フードバンクやチャリティーなどに参加するのも良いかもしれません。
最後になりますが、この困難に打ち勝つ為に、家にこもりましょう。ベッドルームで音楽制作に打ち込むことが自分自身や周りの人たちにとって今できる最善の活動なのかもしれません。
クイックリンク:
- 新型コロナウイルスに対する基本的な感染防止策(WHO)(英語)
- フードバンク検索:イギリス版、アメリカ版、ドイツ版
- 好きな曲で手洗いソングを(英語)
- Nextdoorアプリでご近所で助けが必要な人を見つける(英語)
あなたが何か面白い提案や活動していたら、私達にご連絡ください。みんなで一緒にこの困難を乗り越えましょう!ご連絡はFacebook、InstagramもしくはTwitter経由でよろしくお願いします。
それではみなさん、ご無事で!
Illustration: Nicola Napoli