「人に聞かれるんだ、『アグアスカリエンテスは牧場か何かか?』って」とCanibalは言う。「相手がその存在すら知らないこともあるよ。」それでも、彼と彼の制作パートナーであるJenouiseは自身のエレクトロニックダブルアクトであるZombies In Miamiの活動をマドリード、ベルリン、バルセロナ、アムステルダム、テルアビブ、リヨン、ミュンヘン、モスクワにまで広げてきた。そしてこのデュオの独特な作品は2011のCyborg EPから去年の2712まで、Kompakt, Correspondant, Cómeme, Bedrockなどのレーベルからリリースされてきた。
我々はメキシコ、ポーランド、韓国のレーベルのために複数、そしてフランス人デュオのTelepopmusikのために1つのリミックスを完成させたばかりのCanibal(通称Cani)と出会った。Caniは彼らのデビューリミックスを覚えていなかったが、確か「地元で、友達との間でプレッシャーなく作った」ようなものだと語る。彼が覚えている中での最初の曲は2013年にドイツ人デュオのComaのために作ったレコード盤だ。
「波乱な始まりだったよ、メジャーレーベルのKompaktとだったからね」と彼は語る。「パトロンでもあるKompaktの共同創始者のMichael Mayerの目に止まり、レーベルから出しても良いよ、と言われるまで待つ必要があった。そしてドイツで一番リスペクトされているエレクトロニックミュージックのレコード会社から、アナログレコードとしてリリースされる以上に素晴らしいことがあるかい?」
エレクトロミュージックの世界にはどのように足を踏み入れましたか?
Jenouiseは元々DJ兼プロデューサーで、僕は高校の時から音楽に打ち込んでいたんだ。僕はロック、スカ、レゲエ、フュージョン系のバンドで演奏していた。Mano Negra, Los Fabulosos Cadillacs, Negu GorriaやKortatuなどのグループには好奇心でいっぱいだったよ。そして2001年くらいからコンピューターで何かできないかと模索し始めて、ミックスを作ったり音の実験をした。2004年からはより真剣に取り組むようになって、2015年にはプロデューサーとしてデビューし、ライブアクトを行ったんだ。2012年まではDJとして活動していたよ。
Jennoiseとのコラボレーションはいつ頃からですか?
2009年からだよ。自然と繋がったんだ。趣味嗜好が似ているんだね。彼女は最初VJとして参加して、それ以降は今の形でやっているよ。
あなたのスタジオのセットアップは比較的ミニマルだと思います。意識的にそうしていますか?それとも自然とそうなりましたか?
才能はスーパーで買えない、と誰かに言われたことがある。大きい立派なスタジオを持っていながら、レーベルから音楽をリリースされることのない人たちがいるよね。音楽が形になることがない。僕はスタジオでもライブパフォーマンスでも役立つような、必要な機材だけを所有することを好むよ。
より詳しく教えてください。ライブではどの機材を使用していますか?
始めはとても古風なものだったよ。2004年には低RAMのデスクトップコンピューターでPropellerheadのRebirthを使用していた。それは基本的に2つのドラムマシーンで、808と909が1つずつと、303が2つ。その後にReason 2.5を使い始めたんだ。後はいとこのステレオとエレキギターを僕のRoland MC-307ドラムマシンと交換したことがあって、今でも所有しているよ。
不安定な始まりだったけど、当時はそれしかなかったし、上手く届けられたと思うよ。後にラップトップを手に入れて、Ableton LiveとM-Audio Oxygenコントローラー、そしてNative Instrumentsのオーディオインターフェースを使い始めたんだ。それらを初めてのライブアクトから2006年まで使用したよ。
現在、KOMPLETE KONTROLを中心にセットアップされていますね。どのようにワークフローの中で使われていますか?
全てを楽にしてくれるんだ。全てのアイデアを捉えてくれるピアノの様だよ。NIのソフトウェアも作業を楽にしてくれる。Ableton LiveのシーンにKOMPLETEを立ち上げれば制作を始められる。
リミックスはどのようにアプローチしていますか?クリエイティブな手順を教えて下さい。
リミックスするのが難しい時もあるよ、送られてきたトラックを自分のスタイル、音楽的なシグネチャーに適応させないといけないからね。ほとんどの場合ステムが送られてくるんだけど、音楽的な部分、もしくはボーカル部分が悪い状態だと修正が必要になるから時間がかかる。実際、曲として聴く前に、クリップ毎に聴かないといけないんだ。その過程でこの要素は使えそう、とかが分かってくる。自分の声やシンセサイザー、もしくはスタイルにあった他の何かを使うこともあるよ。最初にする作業はそんな感じだね。
インスピレーションはベース、もしくはメロディから生まれることもある。同じことは一度もないよ。全てのトラックは冒険であり、新しい始まりなんだ。「ドラムセットを入れて、ベースから始めよう」の繰り返しではない。むしろ、もらった要素に適応するんだ、そこから魔法が始まるよ。
音楽以外から受けるクリエイティブな影響はありますか?
好きなことはいくつかあるよ、例えば自然の中でリラックスしたりね。僕らは空を見て曲のインスピレーションを得る、みたいなこととは無関係に、植物を見るのが大好きなんだ。そこにある欠片が大事なんだ。僕らはそこに持ち込んだ気分やその場の状況、または何かについて嬉しかったり、何か強く共鳴することにのみ身を委ねる。僕らがアルバムを完成させる時には具体的なものをベースにしているよ、僕らの猫とかね!
COVIDはライブミュージックに破滅的な影響を与えています。ライブエレクトロニックアクトとして、Zombies in Miamiはどれほどの影響を受けましたか?
現在の状況はコミュニティやダンスフロア、本質的に言うと人の集まりに影響している。過酷だよ。アクトはやるけど、一定レベルの危険は無視している。でも、せざるを得ないプロモーター側の視点にも立たないといけない。クラブやフェスティバルは大きな収入源だから、それが無いと運営が難しいんだ。幸運なことに色んなアクトは続けさせてもらっているよ、フェイスマスクと消毒はしっかりしてね。
今の所、僕らは自分達にあるものや状況、助けになるものと上手く付き合って生活する術を学ばなければいけない。より良い日はやってくる。そしていつの日か、前みたいに皆でダンスフロアを楽しむんだ。アーティストは働かなくてもいいと思っている人がいるかもしれないけど、経済的な困難は誰にでもあって、DJも建築家やエンジニアのように家族を養わないといけないんだよ。
最後に教えて下さい。Zombies In Miamiの名前の由来は?
ハロウィンからインスパイアされたつもりは全くないよ。別のプロジェクトで”Zombies in Miami”というエレクトロ・ファンクっぽい曲を作ったことがあったんだ。とてもキャッチーな曲で、パーティーで演奏するたびにアグアスカリエfンテスの人達からリクエストを受けたんだ。彼らは僕らの名前は知らずとも曲名を知っていたから、冗談半分にそれを名前にしたんだ、その方がかっこ良かったしね。それが名前の由来。マイアミへのトリビュートでもなければゾンビに対する狂信でもないよ!