• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

    Interviews
by Peter Kirn

MASCHINE+をポータブル化するためのパワーユーザーガイド

MASCHINE+1台で完結する音楽制作に適したセットアップをPeter Kirnが解説してくれた。

スタンドアローンの素晴らしい点はパソコンを持ち運ぶ必要がないことだ。MASCHINE+はスタンドアローンでも柔軟な拡張性を失わない。外付けストレージや、コントローラー、電源などを本体に直接繋げることができる。我々はその最適な組み合わせを探るため、ハードウェアの機械的、電子的、ファームウェア的な仕組みをサポートするエンジニアリングチームに直接話しを伺ってみた。

MASCHINE+のアップデートをあまり追えていなかった方たちの為に説明をすると、多くの改善、そしてユーザーから要望の多かった要素が実装された。演奏可能な新しいPolysynthエンジンが追加され、プラグイン、プリセット、そしてあらゆるコンテンツの管理がデバイス上で簡単に行えるようになった。データの保存忘れを防いでくれるAuto-Save機能が加わり、ソフトMIDI Thru機能のおかげでより多くのギアに接続しやすくなった。

今こそMASCHINE+の拡張性を学び、あなたのスタイルにあったカスタマイズを施しましょう。ハードウェアの裏面に備わった2つのUSB-Aポートには可能性が秘められている。それでは、見て行こう。

 

ストレージについて知るべきこと

MASCHINE+には64GBのSDストレージカードが付属しているが、1TBまでの通常SDカードを使用することが可能だ。SanDisk Extremeなどの転送速度の速いカードの使用をおすすめする。

付属カードの詳細スペックは以下の通りだ。別のカードを使用する場合はこれと同等、またはこれ以上のスペックが望ましい: UHS-I, U3, Native I. Class 10, V30. A1.

USBポートを活用すればストレージの増設も可能なため、サンプルライブラリが多すぎて1TBのSDカードでは足りないという方にも安心だ。外付けSSDストレージ、外付けHDDストレージ (専用の電力供給が必要になる可能性があるが、それは後ほど説明する) 、またはUSBスティックなどが接続可能だ。

おすすめはしないが、FATフォーマットのドライブを読み込むことも可能だ (現在一般的に使用されているFATは「FAT32」という名称なので、そのように認識されるかもしれない) 。例えばUSBスティックのサンプルは再フォーマットなしに使用が出来るかもしれないが、exFATの方が最適なオプションだ。exFATにはFATの4GBファイル容量、そして8GBパーティション上限のリミットが無いし、読み込み/書き込みの速度は高く、パソコンやデバイスの種類を問わず使用することができる。

どちらのドライブにしても、フォーマット設定はMaschine+から行うのが最も簡単だ。フォーマット設定はFILE (Save) > STORAGE > FORMATで行うことができる。1つ注意が必要なのは、再フォーマット時にデバイスの全てのデータが消されるため、何かデータが入っている場合は事前に別の場所に移しておくことをおすすめする。

ストレージを取り外す際は、安全のため、FILE (Save) > STORAGE > EJECTをして取り外そう。または、MASCHINE+の電源を落としてから取り外そう。

 

どのSSD/HDDが必要?

最も簡単に大容量で高速なストレージを追加する方法は、外付けSSD (Solid-State Drive) を使用することだ。NIのエンジニア達はSanDisk Extremeの250GB/500GB/1TB容量モデル (2TBも存在はする) を試してみたが、これらは接続するだけで使用することができた。SSDドライブはHDDドライブと比べて割高ではあるが、明確なメリットがある。高速で故障率が低く、スリムで消費電力がとても低いのだ。

もちろん外付けHDD (Hard Disk Drive) を使用することも可能だが、専用の電力供給が必要になる。ラップトップで使用する際も同じだが、HDDを専用の電力供給なしで使用することはパフォーマンスの低下、または接続不良に繋がる。そのため、専用の電源を使用した方が安心だ。ドライブのモデルによっては直接電力供給ができるが、できないものに関しては専用の電力供給があるUSBハブを使用したい。(USBハブは2.5-watt、USB HDDは2.5 watt以下の動作条件を満たすものが好ましい。)

では、HDDのメリットは何なのか?ケーブル、電源、USBハブなどが増えてしまうデメリットはあるが、大容量のものでも比較的安く、すでに所有している人も多いのだ。再度の忠告になるが、exFATへの再フォーマットと、事前にデータを空にしておくことを忘れないように。

ストレージデバイスを接続し、使用可能な状態になったらBROWSER > USERからコンテンツのロードが可能だ。あなたのPROJECTS, GROUPS, SOUNDS, INSTRUMENTS, EFFECTS, LOOPS, ONE-SHOTSはそれらに応じて表示される。

 

モバイルバッテリーを接続しよう

モバイルバッテリーの時代だ。安価で、小型且つ大容量の製品が多く存在する。MASCHINE+に付属している電源アダプターのスペックを満たすモバイルバッテリーがあれば、どこへでもMASCHINE+を持ち運んで使用することができる。以下がスペックの条件だ:

  • 15V DC – ベストなパフォーマンスにはそれ以上にも以下にもならないように
  • 2.66 A、またはそれ以上 – 以上は可能だが、以下は不可
  • コネクタの”+”が内側、”−”が外側であること
  • コネクタのバレルサイズ: 2.5 mm

(製品によっては最大限の柔軟性を持たせるため、コネクタや極性を入れ替えることができる。)

MIDIコントローラーを接続する

パッド以外のコントローラーも使用したい場合は、お好みのMIDIコントローラーを接続してみよう。MASCHINE+は新たにKOMPLETE KONTROL S-Series MK2, A-Series, M32キーボード、そしてMASCHINE JAMにも対応するようになり、面白いインテグレーションも組まれている。追加のサポートも現在開発中だ。

もちろん、これら以外のデバイスも使用することができる。基本的にUSBクラスコンプライアントのMIDIインプット (専用ドライバなしで動作するもの) であれば使用可能だ。これらのデバイスは基本的にハブや専用電力なしで動作するので、接続して試してみよう。

MIDIデバイスを接続したら、SETTINGS > MIDIでConfiguration設定を行うことができる。その後、演奏したいサウンドにアサインしてみよう。

Configuration設定を何もしていない状態では、MIDI信号は選択中のサウンドスロットに対してトリガーされる。なので、接続するだけで演奏することができる。しかし、パッド以外の外部デバイスを使用する大きなメリットは、特定のサウンドに「lock (固定)」できることだ。 アサインしたいGroupまたはSoundを選択して、CHANNEL > GROUPまたはSOUND > Input > MIDIを選択しよう。謎めいたUSBポート名が表示されるかもしれないが (何が接続されているかによる) 、ここから任意のコントローラーをアサインすることができる。

 

オーディオインターフェースを接続する

MASCHINE+には2つのラインインプット、1つの¼” ダイナミックマイクインプット、2つのラインアウトプット、そしてステレオヘッドホンアウトプットが備わっている。ユーザーによってはこれで十分かもしれない。どのダイナミックマイクでも¼”アウトプットであれば使用することができる。(多くのマイクには¼”ではなくXLRが使用されているが、XLR-to-¼”ケーブルを使用すれば解決する。)

お使いのオーディオインターフェースがクラスコンプライアントであれば、I/Oの拡張に使用することもできる。例えば、DCカップリングされたオーディオインターフェース経由でユーロラックのモジュラーシンセを繋げたりすることも可能だ。外部のオーディオインターフェースを接続すれば簡単にマイク用のファンタムパワーやプリアンプを足すなど、MASCHINE+に備わっていない機能を補えることもメリットの1つだ。

ネットワークに接続する

ネットワーク接続が可能なことも忘れずに。接続性を広げたり、他の人達とジャムするのに理想的な方法だ。ネットワーク接続によってできることを紹介する:

  • USB Ethernetアダプタを使用してネットワークに有線接続
  • Ableton Linkを使用して、他のPC/Mac、MASCHINE+、iPadなどのデバイスとWi-FiまたはEthernet経由で接続
  • Ableton Linkで繋がると全てのデバイスがクロックを共有した状態になるので、誰かがテンポを変更しても皆が追従するようになる。ケーブルなしでジャムをするには最適。

 

より詳しい情報を得るには

この記事を読んだあなたはパワーユーザーとしてMASCHINE+を使いこなしていることだろう。そして、より知識を増やして、MASCHINE+の可能性を限界まで広げたいと考えているかもしれない。その場合はMASCHINE+サポートページクイックスタートガイド、または新しくなったNI Community ForumのMASCHINEセクションをチェックしてみよう。

それでは失礼、早速公園に出かけてくる。

関連記事

  • 世界最強のターンテーブルユニットKIREEKが⼀夜限りの再結成

    2007年DMC Team Championsで初優勝した後、前代未聞の5連覇を成し遂げたDJ YASAとDJ HI-Cによる日本のターンテーブリストデュオKIREEK。その偉業を超える者たちはいまだ現れていない。お互いの新しい⽅向性を探るために2018年に解散した彼らが、今回TRAKTOR 20周年を祝して特別に再結成を果たした。これまでの歩みとTRAKTORとの関わり⽅、そしてこれからについて2⼈に伺った。…

    Traktor
  • 日本の著名プロデューサーが日々愛用しているKONTAKT音源TOP3を紹介

    J-POPからゲーム音楽、ダンスミュージックまで多彩なジャンルで活用されている共通のツール。…

    Kontakt
  • how to get started with IRISH HARP

    無償のIRISH HARPを使ってトラックを作ってみよう

    この初心者向けガイドでIRISH HARPの世界を体感してください。伝統的なアイリッシュハープの豊かな音色を現代音楽に取り入れる方法を、ステップバイステップの制作ヒントとトリックで学びましょう。…

    Free stuff
  • summer of sound

    Summer of Soundへようこそ

    Native Instrumentsのサウンド、インストゥルメント、ハードウェアとソフトウェアのバンドルの今年一番のセールSummer of Soundが始まりました!今回はiZotopeとPlugin Allianceでも開催中!本記事ではセール対象商品から一部の製品をご紹介します。…

    Komplete
  • audio compression 101

    音楽プロデューサーのためのコンプレッサー入門

    オーディオ圧縮とは何か、どのように機能するのかを学びましょう。トラックの音質を向上させるための実践的な使い方のヒントを発見してください。…

    Effects
  • what is 90s house music

    90年代ハウスミュージックとは?クラシックハウストラックの作り方

    ステップバイステップのこのガイドで90年代のハウスミュージックを象徴するサウンドとその作り方を学びましょう。ドラムビートのプログラミングから、ベースライン、ボーカル、リードの描き方まで、制作プロセスのあらゆる側面を提供します。…

    Effects
  • how to create realistic midi bass lines

    グルーヴ感のあるリアルなMIDIベースラインの作り方

    MIDIでリアルなベースラインを作りたいですか?ステップバイステップのガイドで、ベーストラックに深みとグルーヴを加えるテクニックを学びましょう。MIDIノートの配置、ベロシティー、アーティキュレーションなど、MIDIベースの基本的な要素も学ぶことができます。…

    Komplete
  • how to make a trance track

    Tranceミュージックとは?高揚感にあふれたUplifting Tranceの作り方

    Tranceミュージックのユーフォリックでドライブ感あるサウンドを作りましょう。Tranceに最適なBPMから、シンセサイザーでの音色選び、さらには無料のボーカルサンプルを使用したアレンジまで、ステップバイステップのTrance制作ガイドをご覧ください。…

    Effects

Cookies

このウェブサイトではより良いユーザー体験を提供するためにCookie(広告、分析、ソーシャルメディアのCookieを含む)を使用しています。

Cookieを管理する

Cookieについて詳しく知る