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by Tim Cant

GUITAR RIG sound design 
(for non-guitarists)

キックからキーボードまで、あらゆる音のブラッシュアップ方法を
プロダクトスペシャリストのTim Cantが伝授する。

もともとはギターの音を処理することを目的としているものの、Guitar Rig 5 Proは多彩な用途に使える極めて有能なエフェクトだ。Guitar Rig 5 Proを使えば、ほぼどんな種類の音でも鳴らすことができる。実機を再現したアンプやキャビネットに加えて、ギターの基本的な音だけにとどまらない54種類のエフェクトも搭載。ダイナミックプロセッサー、モジュレーションソース、グレインをもとにしたエフェクトをはじめ、音作りを行う多数の強力ツールを利用可能だ。そこで今回はその一部を使って、Guitar Rig 5 Proで独創的な音作りを行う6種類の方法を見ていこう。

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Oktaverで迫力のあるキックを作る

自分のキックに勢いや迫力が足りない場合、Oktaverのピッチシフトが役立つことがある。今回使うのは、Roland TR-909のキックを何も処理せずそのまま鳴らした“909 Kick.wav”という音声ファイルだ。迫力のある気持ちいいトランジェントだが、低域の部分は現行のキックほど力強くない。これを改善してみよう。

最初にやらなければならないのは、Guiter RIg 5 Proのゲート機能を無効にすること。ギター以外の音を扱うときは、これが非常に重要になる。ゲート機能によって、ギターの音色から不要なノイズを切り落とすことができる一方で、キックなどの音のトランジェントにも影響を及ぼして、音が若干鈍くなってしまうのだ。点灯している[Gate]というボタンをクリックして、無効にしよう。すると、キックのアタック部分が元通りになったと同時に、Guitar Rig 5 Proの入力が赤くなったことがわかる。入力フェーダーを“-12dB”あたりにまで下げ、ヘッドルームを取って作業を進めよう。

次は、[Components]のセクションに入っている[Pitch]というカテゴリーでOktaverをダブルクリックして、ラックに追加する。このピッチエフェクトは、入力信号を1~2オクターブ下げた2つの音を提供する。その2つの音の音量は、[Oct 1]と[Oct 2]というノブで操作できる。両方のノブを最小にすると、エフェクトのかかっていないドライなキックが聞こえるので、そこから重みと迫力がいいバランスになるところまで、各ノブを少し上げていこう。

リバーブとNoise Gateでスネアの個性を作る

今回紹介する方法では、いずれも内蔵のゲート機能を無効にしているが、Guitar Rig 5 Proには専用のノイズゲートエフェクトNoise Gateが搭載されており、ギター以外の音作りで作業するときに非常に重宝する。スネアの音にリバーブを加えて個性を出し、残響の最後の部分をゲートですばやく切り落とすテクニックは、昔からスタジオで使われている。Guitar Rig 5 Proに搭載された各種リバーブを使えば、多種多様な印象をすばやく試すことができる。

ここでは、かなりドライな響きの“909 Snare.wav”というファイルを使う。最初に[Reverb]というカテゴリーからTraktor Reverbを加えよう。Traktor Reverbはすばらしいエフェクトだ。ただ、スネアの残響があまりに長くなってしまうほか、[Size]というパラメータを下げると音の個性が変わる。そこで、Noise Gateを加えてみよう。設定は、[Threshold]を“-15dB”、[Hold]を“0.11s”、[Attack]を“0.1ms”、[Release]を“0.021s”だ。これでスネアを鳴らすと、ピシッとした鋭さと、追加された個性の両方を維持した音になる。Spring Reverbなど、別のリバーブで、まったく違う印象の音も試してみてほしい。

Hot Plexで808の音を汚す

用意周到に使用すれば、アンプの音処理によって低域の効いた808のキックを複雑な倍音のバケモノに変えることができる。使用するファイル“Anti Eight.wav”は、Massive Xのプリセットを使って作成した808スタイルのベースラインだ。カテゴリーの[Amplifier]からHot Plexをラックへ加えよう。すると汚した印象の音が得られるのだが、低域部分にはキャビネットによってフィルターがかかり、音の重みが減ってしまう。これは、Match Cabinetというモジュールの左上にある電源ボタンをクリックしてバイパスにすることで避けられる。もしくは、該当するキャビネットを選択して削除することでも可能だ。

その結果、非常に汚れた厚みのある音になるのが、ここで、エフェクトのかかっていない原音を少し混ぜたいという人がいるかもしれない。そうするには、[Tools]のカテゴリーからエフェクトのSplitを加えて、Split BというセクションにHot Plexを移動するといい。こうすればSplitのクロスフェーダーでエフェクト音と原音をミックスして、理想の音色にしていくことができる。

Grain Delayでサイケデリックなドラムブレイクを作る

Grain Delayは、劇的な効果を生み出すための非常に強力なツールだ。まずはドラムブレイクの入った“Break.wav”を使って、カテゴリーの[Special FX]からGrain Delayを加えよう。ドラムブレイクの再生中にノブの[Pitch]を変更すると、ディレイ音のピッチが上下に変化して、サイケデリックな結果になるのがわかる。

この操作を自動的に処理しても、おもしろい。まず、カテゴリーの[Modifier]からLFOをラックに加えて、“LFO”と書かれた四角い部分をGrain Delayの[Pitch]にドラッグしよう。そしてLFOの[Rate]を“3.35Hz”に設定し、Grain Delayでパラメータの[Size]を最小にする。これにより、型破りなピッチシフト・エフェクトが誕生する。ノブの[Density]を挙げれば、アクセントをつけることも可能だ。

Formant Filterで歌うキーボードを作る

次は、カテゴリーの[Modifier]で違うタイプのものを使って、表現力豊かなエフェクトにしてみよう。ドライ音には“Keys.wav”を使い、カテゴリーの[Filters]からFormant Filterを加える。パラメータの[Sharp]を“44”、そして[Size]を“78”にまで上げたら、“Keys.wav”を再生しながら、ノブの[Talk]を大きく回してみてほしい。これにより、活き活きとした声の印象を音に与えることができる。さらに、カテゴリーの[Modifier]にあるものを使って、この操作を自動的に処理することも可能だ。

[Modifier]からAnalog Sequencerを加えて、“Analog Seq”と書かれた四角い部分をノブの[Talk]にドラッグしよう。次に、Analog Sequencerの[Resolution]で音符を“1/16th”に設定する。こうすることで、1小節の1/16音符ごとに[Talk]の値が変化するようになる。さらに、Analog Sequencerの底部にある16基の縦フェーダーを使えば、各変化を調節することもできる。ボタンの[Type]をクリックすると、2種類の異なるフィルターのアルゴリズムが切り替わり、今回の例の場合だと音の明瞭さが増す結果になる。

Quad Delayでダブテクノのスタブを作る

“Anchor Minor.wav”には、Massive Xの同名のパッチで作った、テクノらしさのあるスタブのパターンが入っている。実に明快なループだが、数種類のエフェクトを加えれば、このループをさらに面白くすることができる。まずは、カテゴリーの[Special FX]に入っているRing Modulatorだ。適用すると、リングモジュレーション効果で音が変化していることがすぐにわかる。ただ、今回のループの場合だと、変化の動きが少し速いようなので、ノブの[Freq]を下げて、動きを遅くする。そうすると、パーカッションっぽさが薄れ、波のような印象のスタブになる。

次に、カテゴリーの[Delay & Echo]からQuad Delayを加えよう。すると即座にダビーなテクノの雰囲気になる。初期状態ではディレイのテンポがループと同期していないが、下向き矢印のボタンをクリックしてExpert Controlsを開き、[Tempo Sync]を有効にすれば、同期可能だ。この状態にすると、ノブの[Time]でテンポの分解能(細かさ)を設定することができる。

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