• Eomac + Kyoka = Lena Andersson

    アイルランド人プロデューサーEomacと、日本人アーティストKyokaのコラボレーションプロジェクトに迫る。…

    Interviews
by David Abravanel

ライブストリーミングを行うには

多くの音楽クリエイターやDJがいまだに家に閉じこもっている中、オンラインで視聴者とのつながりを取り戻すためのクイックスタートガイドをご紹介します。

自分の音楽やDJセットでTwitchのパーティーに参加したいと思いませんか?FacebookやYouTube、Instagramでのライブに刺激を受けた方もいらっしゃるでしょう。実は、始めるのは思うほど難しくありません。この記事では、進化を続けるライブストリーミングの世界に飛び込むにあたり、技術的に考慮しなければならないことをご説明します。

まず、必要なもの:

  • 自宅で音楽が作れる環境 (必須)
  • Twitchのアカウント (無料で作れます)
  • 配信用のソフト (お好みのプラットフォームに接続するために使用します)

配信ソフトは、無料アプリのOpen Broadcaster Software (OBS) Studio が業界標準となっており、Mac/Windows/Linux全てのOSで利用でき、且つ複数のオーディオ、ビデオソースを取り込むことができます。Twitchも独自のTwitch Studioというソフトウェアを提供していますが、これはWindows専用で、現在はベータ版となっています。その他の配信ソフトの概要については、Twitchのリストをご覧ください。配信を開始する前に、必ずセットアップのテストをしてください。ほとんどの配信ソフトは録画機能を備えていますので、本番前に何度かテストを行い、録画することで、正常な音量レベルが出ているか、ハウリングなどの問題が発生していないかなどを確認することができます。

自分のデスクトップだけでなく、もっと多くの映像を配信したい場合は、何台かカメラが必要になります。OBSは複数のビデオ入力に対応しているので、まずはノートパソコンやデスクトップに内蔵されているウェブカメラが、スタート地点として最適でしょう。配信に慣れてきたら、さまざまなアングルから撮影できるようにカメラの台数を増やしたり、ライブカメラの切り替えを制御できるハードウェアを導入したりするとよいでしょう。

音量レベルに注意

配信には大抵オーディオのセットアップが必要ですが、音楽を伴うストリームの場合はさらに重要になってきます。演奏するにしても、DJするにしても、あるいはただ話すだけにしても、配信を開始する前には必ずレベルをチェックしてください。OBSを使用している場合は、内蔵のデジタルVUメーターを使って、ピークしないように確認することができます。アナログの歪みは心地よく聞こえるかもしれませんが、デジタルのクリッピングはそうではないことを覚えておいてください。

マイクを使用する場合には、ちゃんと設定するために特別な手順を踏む必要があります。ポップガードの購入を検討してみてはいかがでしょうか。ポップガードは大抵の場合、高価なものではありませんが、バックグラウンドノイズを抑え、リップ音(「シー」や「チッ」という音)を抑え、「プ」や「ベ」の様な音が強くなり過ぎないようにするのに役立ちます。マイクからの距離を気にしたり、マイクに慣れる練習をしてみてください。マイクの周波数応答曲線(FRC)は場所によって大きく変化しますので、マイクを使うときはあまり動かないようにしてください。

 

何を配信する?

最後に、何を配信していいのか、という問題があります。他人の音楽を使ってDJをすることは、ほとんどのプラットフォームでできますが、曲によってはアーカイブビデオでミュートされたり、最悪の場合、収益化できなくなったり、完全に削除されたりすることがあるので注意が必要です。最も重要なことは、自分が権利を持っている動画パフォーマンスのみを配信することです。Traktorを使ったDJセットを配信するのは構いませんが、他人のビデオを盗んではいけません。特にTwitchのアーカイブでは、著作権で保護されたオーディオ(DJセットなど)を使用したビデオを見ることができますが、Twitchのアルゴリズムが著作権で保護されたオーディオを検出した箇所では音声はミュートされます。

視聴者の獲得

視聴者を増やしたいのであれば、一貫性を保つ必要があります。特定の時間に定期的にライブを行うことを心がけましょう。動画配信を始めたばかりの方は、少なくとも2週間に1回は配信するようにしましょう。パフォーマンスをするのか?DJセットなのか?どんなジャンルで?誰か他に参加するのか?など、事前に何を配信するのかも決めておくといいかもしれません。

SNSで自分の配信番組を宣伝することは、(特に今日の様に誰もがやっている中だと)何もない場所に向かって叫ぶような感じがするかもしれません。そんな時に、音楽関係の掲示板はかなり使えます。特にDiscordはお勧めです。多くの人気Twitchストリーマーは自分のDiscordサーバーを持っていますし、音楽関係のDiscordサーバーのほとんどは宣伝用の専用チャンネルを持っています。また、Redditや、KVR AudioGearslutzのような掲示板もチェックしてみてはいかがででしょうか。投稿する際は透明性、一貫性を保ちましょう。スパム行為や有言不実行は嫌われる原因になります。

エンゲージメント

何を配信すべきか困っている場合、2つの提案があります。

1)すでに音楽制作のプロセスを共有している配信者の動画を見る。
2)自分が見るとしたら何が一番面白いかを考える。

実際のところ、クリエイティブなプロセスの多くは、側から見ればそれほど興味深いものではありません。そのため、誰のために配信を行うのか(プロ、これから音楽制作をしたい人、クラバー)、そしてどう彼らが興味を持つのかを考えてみてください。

ここで配信のアイデアをいくつかご紹介しますので、遠慮なく使ってください。

  • DJチャレンジ – “D “から始まる名前のアーティストの楽曲を、すべて同じテンポで、アルファベット順にプレイ。
  • リアルタイムサウンドデザイン – 新しいプリセットをゼロから制作(例:「15 new presets for Massive X」)する過程をリアルタイムで紹介。
  • 投稿された曲のみでパーティー – フォロワーが増えてきたら、音楽を投稿するよう頼んでみましょう。あるいは、自信があればDiscordやRedditで投稿を募ってみるのもいいかもしれません。世の中には、自分の音楽を流してほしいと思っているミュージシャンがたくさんいます。ただDJをするだけでもよし、曲にコメントをするだけでもよし、自分のチャンネルをシェアしてもらい、成長させるための素晴らしい方法です。

それでは、生配信のベテラン2人が、それぞれの言葉で説明してくれた、いくつかの設定方法を見てみましょう。

 

D.A.V.E. (Digital and Vinyl Expert)

僕の配信のセッティングは、よりしっかり見てもらうためにマルチアングルを使っていて、更に、僕が何をしているかを見てもらうためにPiPも使ってます。カメラはCanon G7X mk3を2台使っていて、1台は私のプレゼンテーション用、もう1台はオーバーヘッド用。自分のアングル撮影にはGopro 7 blackを、デスクトップの撮影にはiMacの内蔵カメラを使ってます。これらをすべてBlackMagicDesign Atem miniに通して、ライブでカメラをスイッチしてますね。動画は全部Studio OBSに送られて、そこからトランジション用にさまざまなシーンを設定してます。

オーディオは、自分のマイク(作業内容によって変える)をKomplete Audio 6 MK2に繋いでます。内部音声はすべてMacに送られ、すべてKompleteからモニターしています。

これから始める人へのアドバイスは「とにかく配信する音声を良くしよう」ということです。オーディオが良ければ、ビデオの品質が多少悪くても、みんな視聴できます。今自分が持っている機材を使って、それらの全てを学んで行きましょう。技術的なことを心配してライブのコンテンツに支障をきたすより、配信する時には全く気にならないほど自分がよく知っている機材を1つ持っている方がいいです。

ミスを気にする必要はありません。失敗したら、それを糧にして学び、後で笑えばいい。あ、楽しむ事を忘れずに!

 

D.A.V.Eの最新情報は、こちらのウェブサイトから。 digitalandvinylexpert.com.

Jeremy Leaird-Koch of Red Means Recording

配信動画はYouTubeに投稿するときとほぼ同じ要領で、ソニーのA7iiiとAtomosのNinja VをHDMIで接続して、撮影しています。アーカイブや、配信動画の編集用にAtomosでProRes形式で録画しています。

オフラインと生配信の違いは、Atomosではなく、Blackmagic ATEM MiniへHDMIで映像を出力するところから始まります。ATEM Miniの映像はUSB経由で私がストリーミングに使用しているソフトウェア、OBSに出力されます。

オーディオは、生配信中に使用しているデバイスからZoom H6に出力されます。Zoom H6は、ハードウェアとマイクのロスレス・マルチトラックを録音し、1/8インチステレオ(訳註:ミニステレオプラグ)のライン出力でATEM Miniの入力に挿して、そこからOBSに出力しています。

すべてをATEM上で実行し、ストリーミングすることで、同期のズレを気にすることもなく、解像度の低いウェブカメラに頼らずに、A7iiiの画質を活用することができます。

意図的に夜の雰囲気を出す場合を除き、自分は照明を使っていません。後ろにある窓からの自然光を利用して、リモコン式のブラインドで光のレベルを調整しています。

夜間に撮影する場合は、YONGNUOのYN360 RGBライトワンドを使って、両サイドに補色をセットしています。

配信を始めるのにそれほど多くのものは必要ありませんが、細かいことが大きな差を生むという点に注意してください。スマートフォンのカメラ内蔵マイクではなく、ライン入力や、自分の音声用のちゃんとしたマイク(私はAT2035を使っています)を使うこと。撮影中に話す場合は、部屋の中に扇風機やエアコンのような大きな環境音を出すものがないことをチェックしてください。最後に、人々が集中できるようワークスペースを清潔に保ち、照明を真っ直ぐ当てておきましょう。

 

ジェレミーについては、YouTubeのRed Means Recordingチャンネルでご覧いただけます。

Twitchストリームの収益化

最後に、配信の収益化について説明します。まず率直に言うと、最初からTwitchの配信でお金を稼げるとは思わないでください。視聴者がサブスク料を払ってチャンネル登録してくれたり、企業がスポンサーになってくれたりする前に、視聴者を増やし、自分の地位を確立しなければなりません。

定期的な配信でTwitchチャンネルの地位を築いたら、チャンネルにサブスク層を追加することを検討してください。Twitchでは簡単に行うことができますが、まず、どのような形でサブスクを設定するのかよく考えてみてください。急に無料コンテンツを全部やめて、サブスク料という有料の壁を設置するのは良い戦略ではありません。何を無料で提供し、何を購読者にのみ公開するのかを検討してください。例えば、自分の音楽制作のテクニックを紹介する配信を無料で提供する一方で、視聴者から寄せられた音楽を批評するサブスク限定の配信を提供することもできます。また、配信以外のサブスクリプション特典として、楽曲ダウンロード、パッチ、プリセット、サンプル集、マンツーマンのセッションなども検討してみてはいかがでしょうか。

 

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