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by Liam Mitchell

簡単な5ステップでメロディーを作る方法

how to write a melody

音楽とは、メロディーという言語を通して語りかけるものです。メロディーには、器楽的なもの、声楽的なもの、精巧なもの、あるいは数個の音符のようなシンプルなものなど、様々なものがあります。

メロディーは、曲のフックやトップラインとして、私たちの注意を引くもので、メロディーを作るときは、キャッチーで、興奮などの感情を含んだものを作るように心がけています。

メロディーを作るプロセスは、音程や音のパターンがさまざまなイメージや感情を呼び起こすため、一部は知的で、一部は本能的なものです。昨今のデジタルメディアにおいては、短く、且つ耳に残るフックの必要性はかつてないほど高くなっています。

この記事では、音楽におけるメロディーの役割を紹介し、さまざまな音楽ジャンルの例を挙げながら、メロディーがどのように使われているのかを分解していきます。また、メロディーを作るための5つのステップも紹介します。

目次:

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メロディーとは?

メロディーとは、私たちが認識できる音の並び、音程、リズムの組み合わせであり記憶に残るものです。または、楽曲の中で耳にする主な声である。メロディーという言葉は、ギリシャ語で歌や詠唱を意味する言葉に由来しています。

良いメロディーを作る秘訣は、緊張感と解放感をコントロールすることです。面白いメロディーは、私たちが過去に聴いたことのある音楽から得られる親しみや期待感を利用し、さらにユニークなひねりを加えることで、私たちの意表を突くような心地よいメロディーになることが多いのです。

音符間隔の違い、メジャースケールとマイナースケールの違い、反復と変化、緩急の切り替え、静と動の変化など、コントラストを付けることはメロディーに力を与えます。

多くのポピュラー音楽は、馴染みのあるものと意外性のあるものの間で絶妙なバランスを保っています。馴染みやす過ぎると退屈に聴こえ、逆に実験的過ぎるとリスナーに対し挑戦的なものにもなります。

ピアノやギターで弾くコードにメロディーを乗せたり、1本のメロディーラインから曲を作り上げたり。ポップスやロックによく見られる「Verse/Chorus」のように、音楽ジャンルによってアレンジの定型が存在します。

エレクトロニックミュージックのプロデューサーは、DAW上でビートと上音をシーケンスしてメロディーを作るという新しいモダンなアプローチをしてます。ボーカル、シンセパターン、ギターソロ、ベースラインなど、重要なのは識別可能、且つ記憶に残り、何よりも何かを感じさせるメロディーです。

良いメロディーを作るには

音楽を作る過程には、無意識で数値化できない何かが、それをより困難なものにしている場合がありますが、同時に大きなやりがいを感じることができます。

長年にわたり、世界中の人々が、それぞれの文化や経験を生かして作り上げた音楽のジャンルやスタイルが、息をのむほど多様であることを考えれば、それも納得です。

音楽はルールや理論によって成り立っていますが、良いメロディーを書くためのルールブックは存在しません。コードの上にメロディーを書くにしても、ゼロから始めるにしても、音楽を積極的に聴き、その仕組みやメロディーが言葉なしに物語を語ることを分析する習慣を身につけるとよいでしょう。

それでは、音楽界のさまざまなコーナーから4つの事例を紹介しましょう。

J.S.バッハ作曲 チェロ組曲第1番ト長調より“Prelude”

この有名なバッハのPreludeは300年も前のものですが、メロディーとハーモニーのバランスの良さを伝える名演奏として、今もなお愛され続けています。

ヨーヨー・マのキレのある演奏でお分かりのように、この曲はチェロの独奏でありながら、ベース、伴奏、トップラインのメロディーが一体となったフルアンサンブルを想起させることができます。

バッハは、この効果を反復するアルペジオを用いて実現しました。単音の速いパターンが開放弦に鳴り響き、和音を作り、それを徐々に転調させながら、主旋律へ導くという感覚を保っています。実に巧妙ですね。

クラシックや映画的な作曲に興味がある方は、こちらの記事 (英語のみ) をご覧ください。

Eliza Rose “B.O.T.A.”

90年代のレイブやUKガラージの懐かしいサンプルではじまり、迫力あるビートが加わった後、紛れもなく耳に残るトップラインが入ってくる最近のダンスバンガーです。

ボーカルメロディーのソフトでゴーストのような質感と、大胆で重低音の効いたインストゥルメンタルが好対照をなしていますね。この曲はクロスオーバーヒットとなり、イギリスのシングルチャートで1位を獲得しました。

メロディーを単音のベースやシンセの要素に落とし込み、ビートに混ぜてメロディーとパーカッションの境界を曖昧にするという、ダンスやEDM音楽によく見られる手法が、この曲のVerse部分のベースにも表れています。

コンピューターを使用したエレクトロニックビートの作り方については、こちらの記事をご覧ください。

Eminem “Stan”

既存のレコードのサンプルを再利用したり、”反転 “させたりして作られた曲の天才的な例は数え切れないほどあります。この曲はDidoの”Thank You“が使用されています。

ヒップホップでは、このようにサンプリングされたフックを使ってコーラスメロディーを作り、ラップの詩の間に聞こえるボーカルや楽器のリフレインを作るのが一般的です。ディスコなどのダンスミュージックでも、サンプリングは多用されています。

“Stan “がうまく機能しているのは、DidoのメロディーがEminemのラップセクションを補完しているからです。サンプルのドラムとコードをVerse部分でも使用しています。

Didoがサビでメジャースケールでより明るいトーンに変化したのに対し、ここでは暗く、呪われた雰囲気に保たれていますね。原曲の一部分をループさせ、新たな構成にすることで、サンプルの文脈を再構築しています。

 

Red Hot Chili Peppers “Black Summer”

この曲は、リードのメロディーと付随するコードのリズム感との相互作用により、キャッチーさが際立っていますね。

Anthony Kiedisのオープニングボーカルに注目してください。トニック (音階の最初の音) で始まり、5度まで段階的に上昇し、再びトニックまで下降する。次のラインは、一瞬上に浮き上がり、トニックの下に落ち、最後にまた急に捻り上げるというユニークなメロディーです。

サビに入ると、Kiedis (ボーカリスト) はVerseの音域よりも1オクターブ以上高い音をなぞります。下降するリードメロディーがバッキングボーカルと調和し、温かみのあるサードコードを奏でます。

この後のギターソロでは、ボーカルから詩のメロディーを拝借し、この時点ですでにリスナーに馴染みのあるモチーフをギターで表現しています。

メロディーを作るための5つのヒント

1. 音楽を聴いて感じる

良いメロディーを書く方法を学ぶ最もシンプルな方法は、あなたが作りたい音楽をひたすら聴くことです。

構造やさまざまな要素が組み合わさって、どのように言語のように感情や物語を伝えているのかを研究するのです。

既出の音楽からインスピレーションを得ることは、至極まっとうなことです。事実、すべての音楽は先人の影響を受けていますし、それはアイデアを丸ごと盗用することとは違います。

2. 音楽理論を学ぶ (もしくは学ばない)

基本的な音楽理論を学ぶことは、コードにメロディーを付ける方法や、ビートの上にトップラインを書く方法に悩んだときにとても役に立ちます。

異なる音と音とのハーモニーを理解することは、あなたがメロディーを作る際にも大いに役立つでしょう。すべてのメロディーは、基本的な音の間隔という構成要素から作られているのです。

メロディーを作るには、ペンタトニックスケールを利用するのが効果的です。ペンタトニックスケールは、メジャースケールやマイナースケールの7つの音のうち、5つの音から構成されており、ほとんどすべての音楽のスタイルにハマります。ペンタトニックスケールの中で最も強い音はトニック、サード、ファイブで、これらをメロディーの土台にするといいでしょう。The Temptationsの”My Girl“やAviciiの”Wake Me Up“などは、いずれもペンタトニックスケールをメロディーの構成要素として使っています。

ピアノやキーボードで楽譜を書くと、音楽の背景にある理論が、目で見て感じることのできる物理的な形として視覚化され把握できるようになります。オクターブやトライアド、調号、メジャー/マイナーコードなど、実際に手を動かしてみると、より理解が深まります。

KOMPLETE KONTROL S-Seriesのようなデジタル・キーボード・コントローラーは、アドリブからレコーディングまでシームレスに移行できるため、制作の流れを遮られることがありません。

3. 繰り返し手法

人気のあるメロディーは、シンプルで、記憶に残りやすく、繰り返されるものが多いです。同じメロディーを繰り返すことは、曲の感覚と意味を強化する素晴らしい方法です。

メロディーを繰り返す手法の強力な例は、Taylor Swiftの”Shake it Off “です。グラミー賞にノミネートされたこの曲は、ほぼすべてのセクションで繰り返しの手法が使われています。「I stay out too late」という詩のメロディーは、その次の歌詞でも同じメロディーですし、その後の「mmms」も繰り返し、サビの「play, play, plays」で歌われるメロディーも、何度も何度も繰り返されています。

このメロディーの繰り返しが、この曲をキャッチーでエネルギッシュで遊び心のあるものにしていると言えます。

是非、曲を作るときに、歌詞、メロディー、コード進行などの”繰り返し手法”を試してみてください。

4. 方向性を変えてみる

クリエイティブブロック (煮詰まっている状態) は、ほとんどのアーティストがいつかは経験するものです。そんなときは、アプローチを変えてみるのが効果的です。

ビートを作ってからシンセのメロディーを作っていたなら、先にコードパターンやトップラインのメロディーから作り始めてみるなど、制作順序を変えて、別の角度からプロジェクトに取り組んでみましょう。繰り返しになりますが、シンセのメロディーを書いてからビートを刻んだり、コードパターンやトップラインのメロディーから始めたり、オクターブを変えたり、テンポや拍子を変えたりして、新しいチャレンジをしてみましょう。

また、違う楽器や音に変えてみるのも、クリエイティブブロックを解く流れを作るのに有効です。ピアノでメロディーを書くのに行き詰まったら、ギターや他の楽器を使ってみたり、声を使ってみたり、デジタル機材でパターンを配列してみたり。

コンピューターのDAWでは、アルペジエーターを使って1つの音をさまざまな音階や和音に変化させるなど、さまざまな方法でメロディーを自動化することができます。ギターを使用してみるのであればGUITAR RIGがおすすめです。ギタリストのために様々な時代やスタイルのアンプやエフェクトが豊富に収録されています。また、リアルにサンプリングされたKONTAKTライブラリのSESSION GUITARISTシリーズもおすすめです。

5. 取り組むことをやめない

現実には、ファンはお気に入りのアーティストの最高の音楽の裏にある、すべての仕事や努力や葛藤など、そして没になったプロジェクトを目にすることはほとんどありません。あなたが音楽制作のレベルを上げたいのであれば、継続すること、新しい発見をすること、過去の失敗から学ぶこと、そして自分のやり方に徐々に自信をつけていくことが唯一の方法です。

この業界では、コラボレーションや、制作や作曲のクレジットを共有することはとても一般的です。バックトラックやビートを先に作り、トップラインのメロディーを別に追加することもよくあることです。アーティスト間のコラボレーションは、オンライン上でかつてないほど簡単に行えますし、音楽に刺激を与えるための新しいおもちゃやツールをいつでも好きな時に購入することができます。

このプロセスは初心者の方は戸惑うかもしれませんが、音楽制作のレベルを上げるということは長い長い道のりなのです。チートは存在しません。必要なのは、日々の練習や挑戦の積み重ねと音楽への愛です。

作曲のプロセスについてもっと知りたい方は、こちらの記事 (英語のみ)もお読みください。

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